年々引き上げられる「社会保険料」。手取りの減った給与明細をみて憂うつな気分になる人も多いでしょう。老後の資産を増やすうえで、社会保険料の負担増は厄介なもの。そんななか、老後資産を増やす方法として、「個人年金保険」も選択肢のひとつではあると、『老後のお金、本当に足りますか?』(オレンジページ)著者の家計再生コンサルタントの横山光昭氏はいいます。具体的なしくみやメリット・デメリットをみていきましょう。
手取りの給与額がどんどん減っていく“社会保険料地獄”の日本…老後の備えに「個人年金保険」が有効なワケ【家計再生コンサルタントが解説】
国民年金保険料額は19年間で「3,220円」増えている
国民年金や厚生年金、健康保険などの「社会保険料」。国民年金の保険料納付書や、給与明細を見て「金額が上がったなあ……」と思った人はいるのではないでしょうか。
実は国民年金の保険料は、2004年の年金制度改正により、毎年段階的に引き上げられています。この改正により、2017年まで毎年280円ずつ引き上げられていくことになりました。
その理由としては「年金の給付と負担について見なおし、保険料の引き上げを極力抑えて給付水準を調整するため」。また、産前産後の保険料免除制度※の施行により、2019年からは月額100円程度上昇しています。
※ 産前産後の保険料免除制度……国民年金は出産日挟み約4ヶ月、厚生年金は産前産後休業開始月から終了日の翌日の月の前月という違いがある。
[図表]は、国民年金保険料の変遷をまとめたものです。2023年度の国民年金保険料は1万6,520円ですから、19年間で3,220円も上昇していることがわかります。これは、納付額を徐々に引き上げることで、少子高齢化が進行していくなかでも財源を確保するという目的があるようです。
物価や賃金の伸びによって「下がる」こともあるが…
[図表]を見て、「あれ? 決められた額の通りには増えていない? というか、増えたり減ったりしてる?」と疑問に思った人もいるかもしれません。
これは、国民年金保険料は前述の法改正等の理由に加え、物価や賃金の伸びに合わせて調整することが決まっているから。
毎年度の国民年金保険料額=2004年度の制度改正で決められた保険料額×保険料改定率※
※ 保険料改定率=前年度保険料改定率×名目賃金変動率(物価変動率×実質賃金変動率)
この計算式で金額が決まります。
昨今の物価高もあり、変動している国民年金保険料。一応、法改正による保険料の上限には達したということ、現役世代への負担が大きくなることから、今後大幅な変更はないものと思われます。
しかし、物価高をはじめとした社会情勢がどう変化していくかはわかりません。そのためにも、始められることからしっかりと準備をしておくことが重要なのです。