年々引き上げられる「社会保険料」。手取りの減った給与明細をみて憂うつな気分になる人も多いでしょう。老後の資産を増やすうえで、社会保険料の負担増は厄介なもの。そんななか、老後資産を増やす方法として、「個人年金保険」も選択肢のひとつではあると、『老後のお金、本当に足りますか?』(オレンジページ)著者の家計再生コンサルタントの横山光昭氏はいいます。具体的なしくみやメリット・デメリットをみていきましょう。
手取りの給与額がどんどん減っていく“社会保険料地獄”の日本…老後の備えに「個人年金保険」が有効なワケ【家計再生コンサルタントが解説】
「個人年金保険」は3階建ての上の“4階”部分
「私的年金」のひとつ。生命保険なので死亡保障があるのが特徴
個人年金保険とは民間の生命保険会社などが販売している貯蓄を目的とした生命保険です。「年金の仕組み」を3階建て構造とすると、1階部分が「国民年金(基礎年金)」、2階部分が「厚生年金」、3階部分が「企業年金」「国民年金基金」「個人型年金(iDeCo)」で、「個人年金保険」は、その上の「4階」部分になります。
老後の年金の上乗せを目指した資産形成(運用)と、死亡保障の機能をあわせ持つ商品で、あらかじめ定めた年齢から年金を受け取ることができます。もしも年金の受け取り開始日よりも早く被保険者が亡くなった場合には、遺族に死亡保険金が支払われます。
受け取り開始年齢は60歳以上が主流。受け取りは一時金としてもらう、年金として毎年決まった額をもらう、その2つを併用するという選択肢があり、受給期間も終身年金(主に保証期間付き)と有期年金(生存を条件に一定期間受給)※1、確定年金(生死にかかわらず一定期間支給)※2など、さまざまな形を選ぶことができます。また、死亡時は保険料相当額の死亡保険金をもらうことができます。
※1 終身年金と有期年金……終身年金は被保険者が亡くなるまでもらえるのに対し、有期年金は支給される期間が定められているという違いがある。
※2 確定年金……被保険者の生死問わず、決められた年数は年金を受け取ることができる年金保険。被保険者が亡くなった場合は遺族が年金を受け取る。
老後の生活資金を考えると終身年金が安心ですが、一般的に保険料が高くなるというデメリットも。公的年金の受給繰り下げを検討している人は、この有期年金を受給開始までのつなぎに当てるという使い方がおすすめです。
個人年金保険は確実に老後の資産を増やせるが、インフレに対応できない面も
個人年金保険にはメリットもあればデメリットもあります。
●メリット
・生命保険料控除が受けられる※
・確実な貯蓄ができる
・老後の資産を増やすことができる
※ 加入している個人年金保険契約に「個人年金保険料税制適格特約」が付加されていれば個人年金保険料控除が適用され、されていない場合とは控除の上限額が変わる。
●デメリット
・途中解約すると元本割れする可能性がある
・将来の年金額が確定しているため、インフレに対応できない
・受け取る年金に課税されるケースがある
もちろん、民間の会社のものなので倒産、破綻等の可能性もあります。しかしどの生命保険会社も「生命保険契約者保護機構」に加入しているため、「救済保護会社」または「承認保険会社」などが倒産した生命保険会社の契約を引き継ぐことに。ただし保険契約は継続されるものの、契約条件が不利になったり、年金額が減少する場合もあります。
これらメリット・デメリットを把握したうえで、その他の資産形成などと合わせて判断してみましょう。
横山 光昭
株式会社マイエフピー 代表
家計再生コンサルタント