そのものズバリを言い表さず「裏に含ませる」日本語の特徴

日本語には、そのものをズバリ言い表さずに、何かの言葉の裏にもうひとつの意味を含ませる特徴があります。ちょっと言いづらかったり、言葉を少し和らげたりしたい時などに、とりわけその傾向が見られるようです。

たとえば、お金がないとあからさまに窮状を訴えたくない場合は「どうにも首が回らなくて」と。また他人の情報をつい聞いてしまったなら、「たまたま耳に挟んだもので」と言い訳したりします。

会話の相手の心情をできるだけ穏やかに留めようという意図ではあるのですが、スマホの短い表現だけで用件を済ます昨今、そんな〝遠回りな〟言い方は聞いたこともないと言う若者が驚くほど増えています。

文字通り以外にこんな別の意味が…全部わかるかチェック!

●踏み台にする…目指していることを達成するために、ちょうどよい足がかりとして、他人を利用する。

●味噌をつける…失敗してしまう。面目を失う。あることをしそこなって目的を達することができない。昔、失敗してヤケドをした箇所に味噌をつけて手当てしたことから。

●寝た子を起こす…静穏になったというのに、つまらないことをつい起こしてしまって、もとの騒然状態にする。せっかく忘れかけていたのに思い出させて、また問題を生じさせる。

●息が掛かる…権力を握って勢力のある有力者のある影響下にある。支配下にある。

●顔に泥を塗る…相手に恥をかかせたり、面目を失わせたりする。また、相手の名誉を傷つけたりすること。

●枕を高くする…身の回りに危険なことや心配事がなく、安心してゆったりと眠る状態。

●油を売る…仕事や用事の途中で怠けて時間をつぶしたり、無駄話に時間を費やしたりする意。江戸時代、女性に髪油を売る商売人が、ゆっくり世間話をしながら売っていたことから。

●釘を刺す…約束したことを破ったりしないよう、あらかじめ念を押しておく。

●首が回らない…借金がかさんでどうにもならない。どうにも返済のやりくりがつかない。

●峠を越す…病気など一番危険な状態が過ぎた。また、絶頂期を過ぎて盛りの勢いが衰えてきた。

●耳に挟む…聞こうとしていたわけではなく、たまたまふと聞いてしまった。「小耳に挟む」とも。

「色をつける」=「着色」の意味とは限らない

山口 謠司

大東文化大学文学部中国文学科教授