お金持ちは「スマホではなく、筆記でメモをとる」と、元・経営コンサルタントであり、現在は長福寿寺 第56代住職である今井長秀氏はいいます。日々、多大な情報を見聞きする現代で、「自分の手で書く」「本を読む」ことは、お金持ちにとってどのような意味を持つのでしょうか。今井住職の著書『金持ちの生活に真似ぶ』(文友舎)より、「頭の中のアイデアを種銭に変える」メモ・読書のコツを紹介します。
三度の飯より読書が好き
ユダヤ教の教えにこんな一文があります。
「もし生活が貧しくて物を売らなければならないとしたら、まず金、宝石、家、土地を売りなさい。最後まで売ってはいけないのは本です」
お金を儲ける能力に長けている人たちは、読書=勉強をすることを欠かしません。駆け出しの身分から、社長にのし上がっても読書を続けています。最終的に自分の学んできたことを著作として上梓する経営者も数多くいますし、そこでベストセラーを作って、印税を得る人や、寄付に回す人も見られます。
1人で儲けずに、自分の知識も平気でたくさんの人たちと共有するのが、彼らのやり方。そうすることでもっとワクワクする情報が得られることを知っているからです。
中には自宅にも本棚ではなく、図書室レベルの収納庫を持っている人もいますね。テレビやネットで知る情報もありますが、お金を出して本を買って読むという行動は、ながら見でキャッチする情報とは熱量が比べものにならないことを知っているのです。
彼らの読書方法には特徴があります。それはただ読むだけではなくて、自分の意見をどんどん本に直接書き込んでいくのです。
「ここは重要なことが書いてある」
「こんな話があるんだ、おもしろい!」
読んで感想を持つだけでは“行動”がないですから、自分ならどんなふうに行動するのかを書き込んでいく。オリジナルの1冊を作っていくのです。
これが金運を高める読書の方法です。気になるところにラインを引いているだけですと、引いていることに満足してしまって内容を忘れます。これはメモの取り方にも通じます。返事だけは完璧でも、ひたすらメモを取っている人はただ書いているだけで、内容が脳内に浸透していない。これでは、せっかくメモしたノートも「宝の山」にはなりえません。
経営コンサルタント時代、積極的に依頼を引き受けたい相手として「社長が勉強をしている会社」というものがありました。お金が入ってくると、それをすべて遊びに使ってしまう残念な社長もいらっしゃいます。この手の社長はまず、読書をしていません。銀座でどんちゃん騒ぎをすることに注力してしまっている。こうなると、こちら側の提案も聞いてくれません。
彼らは高額な報酬を支払えば、私たちが会社をなんとかしてくれると思っていたはず。もしくは、経営コンサルタントに依頼しているという自慢ができる。でもそんな会社とはおつき合いすることはありませんでした。
ちょっとした会話に読書量は影響しています。語彙はないよりあった方がいいですし、知的に見せるのは最高のおしゃれであり、センスアップにつながります。