70歳まで働くと…老後資金のゴールが見えた!

山川さんの会社では、再雇用を70歳まで延長できるように、今後は方針を変えていくとのこと。これも時代の流れでしょう。山川さんは70歳まで働き続けることができそうです。

厚生労働省の「高年齢者の雇用状況」(令和4年)の調査によると、66歳以上が働ける制度のある企業は40.7%です。現在50歳の人が65歳になる15年後には、70歳定年が当たり前になっていると予測されます。

実際、元気なうちはできるだけ長く働きたいと考えている人が多いようです。こうすると、老後資金は89歳までマイナスにならずにいけます。いよいよゴールが見えてきました。あと一歩です。

夫婦とも繰下げ受給でバラ色の老後生活を

さて、最終のプランですが、70歳まで働くのであれば、その間の生活費は給与と企業年金でなんとか持ちます。つまり、70歳までは年金に頼らないで生活できるわけです。そこで、年金の70歳までの繰下げ受給を検討してみましょう。

〈70歳まで繰下げ受給するプラン〉

・山川さん

基礎年金 190万円から269万8,000円にアップ

厚生年金に加入するため、さらに10万円アップ

合計 約280万円

・晴代さん

基礎年金 70万円から99万円にアップ

・夫婦の合計 379万円

・年間の生活費 360万円

毎月約1万6,000円の黒字。ついに、無限のマイナスから脱出することがかない、85歳の時点では、なんと1,000万円の余裕資金もできる計算です。

収支のバランスを改善することがきました。毎月約1万6,000円の黒字になっているので、山川さんの小遣いが増えるかもしれませんね。

これで山川さんは、お金の心配をせずに暮らせるようになります。

このプランニングは、山川さんが70歳まで会社で働く前提で作っています。しかし、山川さんには、キャリアアップという手もあります。「若いうちならともかく、いまさら」なんて言わないでください。40年間勤め、定年退職したあとも10年働く。これは長いですよ。与えられた仕事をこなすだけでは、働くことが苦痛になってくるかもしれません。

うまくキャリアアップに成功すれば、60歳以降にやりがいのある仕事を見つけ、さらには収入を増やすことも可能です。嬉しいことずくめだと思いませんか。50代は飛躍のための助走期間だとも言えるのです。

長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー