途方に暮れるAさんに救いの手はあるか

Aさんが計画していた退職金2,000万円の使い道は下記のとおりです。

・700万円で住宅ローンを完済

・妻と自分で100万円を退職祝に

・200万円は普通預金へ(いざというときの備え)

・残り1,000万円をNISAと貯蓄型保険や退職金定期預金等にあてる

このように考え、大変楽しみにしていたのです。

定年退職を目前にまさかの倒産。Aさんは途方に暮れ、定年後に計画していたライフプランはガラガラと崩れ落ち、こんなはずではなかったと絶望し、目の前が真っ暗です。

会社側からの説明では、従業員は全員解雇となるようです。離職票を受け取り、ハローワークで求職の申し込みをし、失業手当を受けることで、当面の生活はなんとかなりそうですが、60歳以降の仕事を探さなければなりません。

今後の生活が脅かされる結果に戸惑い、学生時代の友人に相談すると、従業員を救済するために、国の制度として、政府が会社に代わって未払賃金と退職金の一部を立替払いする制度があるとのこと(独立行政法人労働者健康安全機構の未払賃金立替制度)。

未払賃金の立替払制度は、労働者とその家族の生活の安定を図る国のセーフティーネットとして、企業が倒産した場合に、賃金の一部を国が立て替えて支払う制度で、労働基準監督署と独立行政法人労働者健康安全機構が制度を実施しています。

ただし、この制度には要件と上限金額があり、支払われる金額は未払いの賃金を含めた額の8割となっています。退職金の支払いが全額保証される制度ではないのです。また、退職日の年齢によっても限度額があります。45歳以上のAさんは、受け取れたとしても立替払の上限である296万円(45歳以上)です。

また、事業主が、中小企業退職金共済制度を利用している場合は、会社に退職金を支払う余力がなくても、退職金を受け取れます。中小企業退職金共済制度とは、事業主が掛け金を納付することで、従業員が退職したときに独立行政法人勤労者退職金共済機構から従業員に退職金が直接支払われる制度です。