年上女性×年下男性のドラマが続々と登場した“ポスト『ロンバケ』”

『ロンバケ』以降、年上女性×年下男性の恋愛は、度々ドラマとして放送されるようになった。教師と生徒の恋愛を描いた『魔女の条件』(1999年・TBS系列)や、10歳差の社内恋愛の『anego』(2005年・日本テレビ系列)。見ているこちらの胃が痛くなるシーンがあった。32歳の野田奈央子(篠原涼子)が、22歳の黒沢明彦(赤西仁)にプロポーズをすると困惑をした表情に。

「ちょっと考えさせてください」
「どのくらい?」
「……5年後?」

5年後の自分の年齢を考えて、息が止まる奈央子。これは現実なのかもしれないと、奈央子とともに泣いた女性視聴者。

篠原涼子は、年下男性との恋愛設定が多かった。ある日突然、年下のイケメンくんから求愛されるという『ラスト・シンデレラ』(2013年・フジテレビ系列)。最近では『金魚妻』(2022年・Netflix)で年下男性と恋に落ちる既婚者を好演。『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(2017年・フジテレビ系列)では、年下旦那を専業主夫にして働く国会議員の役を演じていた。『きみはペット』(2003年・TBS系列)では、小雪と松本潤(嵐)による、高学歴エリート女性と、美少年ダンサーとの恋愛。道端に落ちていた松潤を拾うという、死ぬまでに体験できることはない状況。原作漫画を全巻買い込むほど、没頭した。

きょうは会社休みます。』(2014年・日本テレビ系列)では、アラサーになった綾瀬はるかが、9歳差の大学生、福士蒼汰と恋愛成就。『中学聖日記』(2018年・TBS系列)では、有村架純が中学生と恋に落ちていた。『ロンバケ』以前まで、どこにネタを隠していたのか疑問に思うほど、各局で「年上女性×年下男性」のドラマ制作が続いている。

なぜわたしが年上女性と年下男性の恋愛ドラマに思い入れがあるかと言えば、単に年下の男性が好きだからだ。ただ『ロンバケ』を見ながらの青春時代も、この趣味嗜好は言えない風潮があった。特に出身地の静岡県浜松市は、のどかすぎると言っても過言ではない田舎町。仮に年下男性に告白しようものなら「重たい」の一言で片付けられてしまう。

実家に住んでいた頃、同学年の生まれ年違いの彼氏がよく家に遊びに来ていた。その様子を見ていた母がこう洩らした。

「結婚をするかもしれないのに、あなたのほうが年上だから、どうしようかと悩んでいる」

目を丸くした。彼女はあくまでも心配をしてくれていたことは重々承知の上だ。
(たった数ヶ月だけ女性が早く生まれたことは、そんなに罪なのだろうか…)

母の心配は虚しく消え去り、今も娘は元気で幸せな独身である。ありがたいことに今では恋愛に年齢境界線のこだわりは一切ない。

小林 久乃
作家、ライター