年金財政の改善には「支給開始年齢の引き上げ」しかない!?

年金財政を持続可能なように改善するには、①保険料水準を引き上げる、②年金支給水準を引き下げる、③年金支給開始年齢を引き上げる、の3つしか方法がありません。

これまでは3つとも総動員して立て直してきたのですが、①、②ともに限界に近づいており、もはや③の年金支給開始年齢の引き上げしか手段がない、と私は予測しています。

具体的には、現在、65歳支給開始となっている年金を段階的に70歳支給開始に移行していくことになるでしょう。

さらにそれで止まらずに、中長期的には75歳支給開始も十分にあり得ると私は見ています。

実は、現在の厚生年金は、60歳支給開始を65歳支給開始に移行している最終段階にあります。2026年4月以降、ようやく男性は全員が65歳支給になります(女性はその5年後)。

現在進行中の移行措置から考えると、おそらく据え置き期間も考慮して16~17年という長い期間をかけて、66歳支給開始、67歳支給開始、……というように移行措置を取り、段階的に70歳支給に向けて進んでいくことになると思われます。

そのように計画しているからこそ、まずは「70歳まで働ける労働環境」を整備するという趣旨で、高年齢者雇用安定法の改正(通称「70歳就業確保法」)を行って、2021年に70歳までの就業機会確保が大企業の努力義務となりました。

翌2022年には、年金の繰り下げ受給を70歳までの5年だったものを75歳までの10年とすることを可能にしました。いずれも、年金の70歳受給開始に向けての地ならしと見るのが常識でしょう。

年金が70歳からの受給となると、70歳まで働くのが当たり前の社会になります。そうした長く働き続ける時代に、みなさんはどんな働き方をしたいですか?

私なら、好きな仕事で長く楽しく働くライフスタイルを目指します。50代から長く続けられる「副業」を始めて、ゆっくり育てていけば、それはだれにでも可能です。

大杉 潤
経営コンサルタント/ビジネス書作家/研修講師