誰にとっても身近で興味がある「カネ」が題材のマンガ『闇金ウシジマくん』作者の真鍋昌平さんと作家で元外交官の佐藤優さんが「これまでに貸したカネの話」で盛り上がりました。本稿では、佐藤さんの著書『天才たちのインテリジェンス』(ポプラ社)から一部抜粋して、佐藤さんと真鍋さんの対談をお届けします。
「誰かに無償で助けてもらった経験がある人間は、きちんと返す」
真鍋昌平さん(以下、真鍋): 一度、「風俗をやめたいのにやめられない」という女の子に1ヵ月分の生活費を貸したことがあります。あげるつもりで。出会った頃はショップ店員だったから、その1ヵ月で就職活動をして、元の仕事に戻れたらいいと思ったんですけど。
佐藤優さん(以下、佐藤):どうなりました?
真鍋:いっこうに働こうとせず、さらにお金をせびるようになってきたので付き合いを断ちました。
佐藤:愛着障害(乳幼少期に何らかの原因により、母親や父親など養育者との愛着形成がうまくいかず問題を抱えている状態)などの問題も関わってきますね。
真鍋:そういった問題の根本は、誰にも肩代わりはできない。自分で解決するしかないので。
佐藤:私もですね。私もソ連時代を含め200人以上にカネを貸したけど、返ってきたのは3人くらいですね。まあお金を出す、貸すことは別に問題ないんです。
自分は借りは作らないようにしているけれど、人間関係の一環としてわりと金は出すほうです。今は優秀な学生の支援もしていますし。
真鍋:面倒見がいいんですね。どのくらいの額ですか。
佐藤:ケースバイケースですが、生活費から学費まですべて面倒を見ると数百万単位になりますね。勉強できる時間は短いから、優秀な学生にはバイトせずに学業に専念してほしくて。
真鍋:返済期限はあるんですか?
佐藤:特に設けていないけれど、彼らは返すと思う。誰かに無償で助けてもらった経験がある人間は、きちんと返す。私も学生時代に先生たちが割のいいバイトでお金を回してくれたからこそ研究に力を注ぐことができ、外交官試験にも合格できたと思っていますから。学生の支援をしているのは、その恩返しでもあります。
真鍋:有効なお金の使い方ですね。