「発酵食品」を食べることは、腸内環境を整える助けになります。とはいえ、人によって腸内環境は千差万別。自分に合った発酵食品を見つけ出さなければなりません。そこで本記事では、順天堂大学医学部で教授を務める小林弘幸氏による著書『自律神経を守る 60歳からの正解』(マガジンハウス)から一部抜粋して、発酵食品、とりわけ「ヨーグルト」を摂取するコツについて解説します。
ヨーグルトは「夜」に食べるのがおすすめ
腸内には約1000種類、100兆個以上もの細菌が棲んでいることは前述しました。その腸内細菌が種類ごとに集まっている形が、お花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。
発酵食品のなかでも乳酸菌が、悪玉菌の繁殖を抑えて、腸内フローラを整えてくれます。乳酸菌が豊富な発酵食品はチーズ、納豆、キムチなどいろいろありますが、もっとも代表的なのが〝ヨーグルト〟です。ヨーグルトに使われる乳酸菌には、ビフィズス菌、ガセリ菌、ブルガリア菌など200種類以上のさまざまな種類があります。
ヨーグルトも他の発酵食品と同じように、自分に合ったものを見つけることが大切です。ヨーグルトにはさまざまな商品があり、使われている細菌も効果も異なります。いろいろ試してみるとよいでしょう。
まずは1日200グラム、2週間~1か月、同じ種類のものを食べて便や体調をチェックします。便がバナナ状になったり、肌荒れが改善したり、よく眠れるようになったなど変化があれば、それは自分に合うヨーグルトです。
実際、食べ始めて2週間くらいで、便やおなら、口臭や体臭が気にならなくなったという例もあります。便の臭いはアンモニアや硫化水素などの物質が原因で、これらは悪玉菌によってつくられます。臭いが改善されたということは、腸内が悪玉優勢から善玉優勢になって、腸内環境がよくなってきた証しなのです。
朝食に食べるのが一般的なヨーグルトですが、私は夜にとることをおすすめしています。22時~翌2時の間は副交感神経が高まり、腸が最もよく動く腸のゴールデンタイム。腸が活発になる時間帯に合わせてとることで腸内環境も整います。
さらに夜に食べることの利点には、成長ホルモンとタンパク質が深くかかわっています。成長ホルモンは、寝ている間にたくさん分泌されて、体の機能を調整し、筋肉を増やす役割があります。このとき、タンパク質をとることで吸収力をアップするというのです。筋肉を落とさないのでダイエットにも効果的です。
ヨーグルトをとるなら、食前より、胃酸が弱まっている食後のほうが腸まで乳酸菌が届きやすいのです。
小林 弘幸
順天堂大学医学部教授