むりにポジティブより、“あえて悲観的”のほうがうまくいく

「ポジティブなことしか考えないようにしましょう」「いいことを考えればいいことを引き寄せる」など啓発本などでよく見かける思考。間違ってはいないと思います。

しかし、これは行動する段階のこと。人生を歩いていくためには、計画の段階で〝落とし穴〞があることもわかって、それを避けたり、落ちても軽傷で済むようにしておいたりする必要があるのです。

とくにお金の面では、あえて「最悪の事態」を想定する必要があります。

たとえば、夫婦で家やマンションを購入して、離婚するときにもめるのはよくある話。あとで「こんなはずじゃなかった」とならないためにも、予防線を張っておくのは、ひとつの責任なのです。

ほんとうのリスクヘッジとは、起こってから対応することではなく、起こらないように気をつけること。万が一、離婚したときのお金の配分などを考えることも大事ですが、まずは離婚しないようにコミュニケーションをとることのほうが先でしょう。

これまで心理学の研究でも、「楽観的な人は成果をあげやすい」とされてきました。「自分はできる」「うまくいく」と信じることがパワーになり、不安にとらわれないからです。しかし、一方で「心配性で悲観的な人も成果をあげる」ともいわれます。

「これができていない」「まずい。もっとがんばらなければ」と考えて動く人は、不安が原動力になるのです。心配性でしっかり確認する人も、ミスが少ないでしょう。「ああ、もう自分はダメだ」と悲観にとらわれて行動できなくなるのが問題なのです。

悲観的に計画して、楽観的に進む人がもっとも成果が大きいといいます。

悲観的に考える人は、楽観的な人に比べて不安やストレスを感じることも多いもの。ですが、その分、うまくいくことも多く、人生の満足度、幸福度も大きいのです。


有川 真由美
作家