程度の違いはあれど、ほとんどの人が頭を悩ませる「親の介護」。実際に介護がはじまると、同居している配偶者や子どもの負担が重くなりがちです。では、親の介護で同居家族の負担を減らすにはどのような対策を講じれば良いのでしょうか。76歳の父を介護するAさんの例をもとに、具体的な流れをみていきましょう。※本記事の情報は、抜粋元の書籍が刊行された2021年7月8日時点のものです。
介護は1人に集中させない!チーム制にして業務分担
3.チェックリストを作成して必要な介護を把握
一口に「要介護2」といっても、必要となる介護は百人百様です。その人の介護状態をきちんと把握するためにも、日常生活を送るうえでの必要な行動に対するチェックリストを作成してみましょう。([図表4]参照)。
まずは、「歩行」「食事」「洗濯・掃除」、「内服」「入浴」「排せつ」「寝起き」などの項目を作成し、各項目に対して、できる・できないをチェックしていきましょう。さらに、それぞれの項目でどの程度の介護が必要か具体的に記入していきます。介護が必要な頻度も書き加えると、ケアプランを立てる際に、役に立ちます。
不明点はケアマネージャーを頼って
ただし、家族だけではサポートがどの程度必要かわからないことも少なくありません。その場合には、介護のプロであるケアマネジャーにアドバイスをもらうとよいでしょう。
4.必要な介護サービスは積極的に活用
ケアプランを考えるときは、介護される人の希望と介護する人の事情を考慮するようにしましょう。ケアプランの作成はケアマネジャーが行うため希望はきちんと伝えること。
[図表5]のAさんの例では、主たる介護者である母以外に、平日の夜2回はAさんの姉、週末は母とAさんとAさんの妻、Aさんの姉が介護に参加するという体制を組むことになりました。
<介護プランを考える手順>
①介護される人の生活パターンを記載
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②公的な介護サービスを記載
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③主に介護をする人の担当部分を記載
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④介護に協力する人の担当を記載
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⑤自治体・民間の介護サービスを記載
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⑥全体のバランスを見て調整する
週1回の通院は、家族で分担したいところですが、どうしても難しいときは自治体サービス・民間事業者等、介護保険外の付き添いを利用することに。主たる介護者の母が同居しているからと、毎日の介護を高齢の母に任せることは、母1人に負担が集中し、破綻をきたすことになりかねません。
そうならないためにも、Aさんのように、訪問介護とデイケアなどの通所介護を組み合わせて母の負担を減らすことが大切です。電話で定期的に愚痴を聞くなど、介護する人のフォローも忘れないようにしましょう。
角川SSCムック