「小さな利益」を着実に積み上げるための売り戦略

買いのタイミングはパターン化しているので比較的わかりやすいのですが、売りはそう簡単にはいきません。僕の場合はとにかく欲張らず、100円ぐらいの値幅が出たら利益確定するようにしていますが、その日のうちに売れることもあれば次の決算までかかることもあります。長いと3か月ほど含み損を抱えることもあります。

それでも、損切りの目安というのは特に設けていません。5年ほどこの投資を継続していますが、含み損になってしまっても次の決算発表で救われるケースが大半だからです。割安な成長銘柄に絞って投資をしていれば一時的に株価が落ち込んでも、再評価されることが多いと実感しています。

ただ、税金対策として半年に1度、機械的に含み損が出ている銘柄を売却し、すでに出ている利益と相殺して税の還付を受けているので、このときに整理することもあります。これが実質的な損切りになっており、含み損が大きくなりすぎるのを防いでいる面もあると思います。

一般的な投資の鉄則に従えば、リスクの高い信用取引で損切りをせずに3か月も引っ張るのは典型的な負けパターンであり、僕がたまたまうまくいっているからといって人に勧められるような方法ではないと思っています。リスクを低く抑えるのであれば、やはり事前に損切りのポイントを決めて、損失を一定範囲内にとどめる戦略をとるほうが安全でしょう。

本命は「長期投資」であり、短期売買に資金をつぎ込みすぎない

王道の投資方法として、「コア・サテライト戦略」という考え方があります。安定的な成長を見込める対象をコアとして資産の大部分を投資し、リスクの高い対象にはサテライトとして少額の資金を投資するという考え方です。

一般的には、コア投資がインデックスファンドなどを利用した世界分散投資で、サテライトは個別株やFX、商品、暗号資産などと説明されることが多いようです。

僕の場合、たまたま短期投資の利益が大きくなってはいますが、基本的には厳選したIPO銘柄を現物で長期保有する投資がコアであり、短期取引はサテライトです。あまり多額の資金をつぎ込みすぎないよう気をつけながら、楽しんでいます。

皆さんも、短期投資は投資資金のごく一部に抑えたり、現物株に絞ったりして、リスクを冒しすぎないようにして行ってください。

どちらも現物で手がける場合は、証券口座を分けたほうがいいかもしれません。同じ証券会社の口座で取引すると、長期で保有する株と短期で回転させる株が一緒になってしまい、取得単価も平均されて区別できなくなってしまうからです。

異なる証券会社の口座を使うか、同じ証券会社の口座を使う場合は長期保有分をNISA口座にして、短期売買分を特定口座というふうに分けておけば、混ざってしまうことを防げます。