買い手がいなくなることで「相場の天井」はやってくる

長期投資で大きく資産形成するには、市場参加者が「株なんて買いたくない」という状況で買いに行くのが重要。恐怖におののく大衆とは真逆の行動を取るのです。

「通りに血が流れている時に株を買いに行け」「銃声が鳴ったら株を買え」「人が貪欲な時に自分は慎重に」「人が恐れている時に自分は貪欲に」といった様々な格言がある通り、徹底的に天の邪鬼であることが成功に繋がります。これは私の実体験からもいえます。

まず、暴落期でなく絶頂期の株式相場を考えてみましょう。多くの人が株(銘柄)に注目し投資すべき! と認識した頃には、ほぼ天井に差し掛かっているケースが多いです。なぜならば、底値から買っていた投資の玄人から何もわからないド素人まで、全ての人々が参加しているからです。普通なら株をやらないような人までやり出すと、その先に株の買い手はいません。

1929年の大恐慌の直前の、元米大統領ジョン・F・ケネディの父であるジョセフ・P・ケネディ氏の逸話が有名です。彼は米国の金融街であるウォール街でも有名な投資家でした。

夏のある日、少年に靴を磨いてもらっていると、少年の口から「この株が儲かる」という類の話が多数出てきました。これを聞いたケネディ氏は、「投資に興味を持たないような貧乏な子どもでさえも株を知っている……、きっと流行も終わりに近い」と悟り、保有していた株を売却したのです。それからほどなく、同年10月に株式市場は大暴落しましたが、難を逃れたのでした。

近年でも米国株の上昇が顕著でした。書店には米国株投資の本が並びSNSでもS&P500の積立で資産形成するのがブームとなりました。

2021年より前に米国株を買っていた方は覚えていると思いますが、GAFAMと呼ばれる巨大IT企業が米国市場の時価総額の多くを占め、株価はさらに上がり、万能神のように思われていました。

ですが、2022年年初からの金融政策や相場環境の変化によって大きく下落。GAFAMだけでなく、業績赤字でも成長期待でグロース株を買っていた投資家の中には、マイナス80〜90%といった巨額の含み損を抱えた方も。

万能と思われがちの米国株も2000年頭からのITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、そして2022年の暴落と、定期的にブームになっては暴落を繰り返しています。

このように大勢の人がよいと認知した頃には、買い手も少なくなり、時間も経ってマーケット環境が変わり目にあります。