株価が暴落している時に株を買うなんてもってのほか…と考える人が大多数かもしれません。しかし、「徹底的に天の邪鬼であることが成功に繋がる」と、投資研究家の児玉一希氏は言います。児玉氏の著書『株式投資2年生の教科書』より、詳しく見ていきましょう。
〈オワコン銘柄〉を底値買いして利益を出す人気投資家YouTuberが「投資は徹底的に“天の邪鬼”であれ」という深いワケ
“天の邪鬼”のごとく買いに行くべき「タイミング」とは?
先ほどの米国のハイテク株とは逆にあまり注目されず、中には「終わった」といわれる銘柄が買い時になる可能性があります。
例えば、原油メジャーのエクソンモービル。2020年の新型コロナウイルスの時には、人の往来が止まり、原油価格が市場初のマイナスになりました。その後、エクソンモービルの株価も大暴落。事業自体が成り立たないという状況です(図表)。
40年近く増配を続ける高配当株でしたので、果たして配当もどうなるのかという状況でした。ただ、私はこの下落に乗じて株価30ドル近辺のほぼ底値で買っています。この時はしばらく株価が動きませんでしたし、多少の恐怖はありました。
一方で移動需要が消滅しても、原油は電力・化学製品など多数の分野で使われること。そしてコロナが仮に長引いたとしても、いずれ人の往来は再開せざるを得ないと予測されること。原油の需要自体も少なくともこの先10年は上昇傾向だったこと。以上から、いつかは戻るというプランをもって買いました。
この当時、エクソンモービルなどのエネルギー株を買うのはよくないという論調が目立ちました。テスラなど電気自動車の株価が伸びていたこともあり、オワコン扱いだったのです。
実際、私もハイテク株が上昇しているのを見て、釣られそうになったりエネルギー株の将来に対して悲観的に考えたりする場面もありましたが、人々が注目していない安いタイミングで買えたということです。
結果として、2年後にはインフレ進行もあり約30ドルから約110ドルまで上昇。底値から3倍近い利益が得られました。途中で保有株の半数を利益確定してしまいましたが、2023年時点ではまだ保有しています。
配当も継続して出ましたので、30ドル近辺で買うと配当利回りは10%と高いです。
最悪の材料が出たタイミングこそ、実は買い時なのです。ですが、それを目先の暴落チャートだけで見ていたら絶対に気づきません。
以上のような観点で、人々がよくないと感じている銘柄でも「これ以上悪くなりようがない」悪材料が出たり、会社や事業としては価値が変わっていない状態であれば、長期投資のよいチャンスになる可能性が高いです。ぜひ人とは違う道を歩み、天の邪鬼な投資家であってください。
児玉 一希
株式会社RES
代表取締役