高収入でも年金額には上限あり!金銭感覚もネックに。

ゆ:所得代替率という言葉を聞いたことがありますか? これは、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどのくらいの割合か、を示すものです。

お:所得代替率は、各世帯の所得水準によって異なり、各世帯の一人あたりの所得が低いほど高くなります。

ゆ:高所得の世帯は個人年金や貯蓄などで老後に備えることができますが、所得の低い世帯は、現役時代のうちに十分な老後の備えをすることが困難かもしれません。

お:そのため、一人当たりの平均所得が高い世帯ほど所得代替率が低くなります。

ゆ:つまり端的に言うと、現役の時に所得が400万円と800万円の人がいたとして、800万円の人の年金額が400万円の人の倍にはならないということですね。

わ:年収が高ければ高いほど年金を多くもらえるわけじゃないんだね!

お:月収の水準を示す標準報酬月額は65万円が上限です。収入が65万円以上あっても65万円で計算します。一方、ボーナスの水準を示す標準賞与額は、1回あたり150万円が上限です。ボーナスを2回もらうとして年収は1,080万円で、これ以上年収が増えても年金額は同じです。

わ:高収入の家庭ほどもらえる年金額とのギャップが大きくなるんだね。

ゆ:その通りです。実は老後貧乏におちいる可能性が高いのは、年収がそこそこある人です。普段特に節約しなくてもお金に困ることがありませんでしたので、金銭感覚も家計管理もゆるくなっています。

質を重視した買い物をする傾向があり、服装は高級ブランドで、高級車や高級腕時計を持ち、食事は国内産にこだわったりと、一般的に高価格のものを好みます。

社会的地位の高い人が多く、見栄やプライドを持っています。周囲の家庭に引けを取らないよう、子どもの進学先は有名私立、そのために進学塾に通わせて教育費の負担が高くなってしまうケースもあります。お付き合いも多く、挨拶やお礼の贈り物や食事代をおごるなどの交際費がかさみます。

こうした習慣は収入が減ったからと言って、レベルを下げることはなかなかできません。気が付いたら十分あったはずの貯蓄が底をついていた! と真っ青になります。

わ:一さんは早くにそのことに気づけて良かったね!

ゆ:一さんは自身の消費・支出を見直して、無駄遣いに気づき改めることにしました。

貯蓄も十分あるかと思いますが、60歳から65歳までの生活費や、物価高や予想外の出来事で貯蓄は減っていきます。そんななか100歳まで長生きしたらどうなるでしょうか。高収入であるからこそ、将来設計を早めに考えることは大事ですね。

一さんはさっそく、奥様と一緒に過ごす時間や共通の話題を楽しむプランをたてました。

わ:幸せな老後を過ごして欲しいね!

まとめ

現役世代で高収入だった人は、年金もたくさんもらえるものと思いがちです。しかし年金支給額の上限があるため、高収入であればあるほど年金額とのギャップは大きくなります。

その現実を知ってから生活をサイズダウンしようと思っても、贅沢に慣れてしまったせいでなかなか思うようにいかず貯蓄がどんどん減っていきます。しまいには、高収入の老後貧乏におちいるケースがあります。
ねんきん定期便を確認して、早めに老後生活の設計をたてましょう。

<ゆめこさんの部屋>
わ:ワイも健康的な食生活がしたいな。オーガニック野菜を中心とした食生活に憧れちゃうな。ところで、いつもゆめこさんが夕飯にふるまってくれる肉団子、なんのお肉?

ゆ:あれは馬肉よ

わ:お馬さん!?

ゆ:高たんぱく、低脂肪で、ワンちゃんのエサとして人気があるのよ。

わ:ワイ、あんなに大きいお馬さん食べてたんだね! すでに健康的な食生活送ってたんだね!

ゆ:そうよ、あんた自然界にいたら、馬に食べられてる側だったのにね。人間界で暮らしててよかったわね。

わ:ちょっと、ワイを脅かしたくて嘘ついてるでしょ! お馬さんは草食だからワイのこと食べないよ!

ゆ:ばれましたか。

わ:ぷんぷん!
〈備考・参考〉
『令和3年賃金構造基本統計調査』
公益財団法人生命保険文化センター『2022(令和4)年度 生活保障に関する調査』
所得代替率についての言及『厚生労働省のマンガで読む公的年金制度』
【老後貧乏】月収74万円・52歳の勝ち組サラリーマン…60歳で定年退職後に知る衝撃の年金額「なんとかなるさ」の余裕が一転「エリート老後崩壊」の理由