最初の仕事は「興味が持てて」、「倫理観に反しない」もの

自分の適職は、多くの場合、実際に働いてみないと分からない。職業選択は一種の出会いの経験だ。まず、時間を使って夢中になることができるような興味を持てる仕事か、次に、自分の倫理観に反しない仕事か、の2点で仕事を選んで働いてみよう。合わなければ転職するといい。

興味を持って面白いと思える仕事でないと、ライバルに勝つための努力が続かない。これは競争上決定的に不利だ。

また、自分の倫理観に反する仕事は、いざという時に頑張りが利かない。例えば、個人向けの証券営業の仕事を、「工夫すると数字が上がる仕事で、世の中のためにもなっている」と感じる人もいれば、「数字を上げるために噓をついているようで嫌な仕事だ」と思う人もいる。

さて、君はどんな仕事を選ぶのだろうか。いい仕事に出会えるといいな。

早く「転職できる人材」になる

例えば、現在、新技術としてAI(人工知能)が注目されている。知的な専門職でも、数年後にはAIに代替されて廃れてしまうものが生じる可能性がある。就職して2年後くらいまでには、仕事の基礎を身につけた「転職できる人材」になっておきたい。

今の段階では分からなくとも、2年後には先が見通せる職業があるはずだ。職種転換には若い方がいい。

自己投資で得るものは、知識・スキル・経験・人間関係・時間

かつても、これからも、人材価値向上のために自分に投資することの意義と重要性は変わらない。

自分が投資するものは、時間・努力・お金の3つだ。そして、投資で得ようとする対象は、①知識、②スキル、③経験、④人間関係、⑤時間、である。

仕事で差をつけることができる「知識」、仕事の能力向上につながる「スキル」の獲得には、継続的な努力が必要なのが普通だ。自分流の勉強の仕方(先端の論文を読む、など)や技術の吸収の仕方(先輩から学ぶ、など)を工夫せよ。

自己投資というと、すぐに社会人大学院のような教育機関に期待しようとする人が多いが、しばしば疑問に感じる。教えている内容は「誰でも知りうる知識やノウハウ」が多いし、無駄な時間が少なくない。また、残念ながら、国内MBAの履歴書上の価値は高くない。下手をすると履歴書上で、「この人は、会社の仕事が暇で、職場に不満のあった人だろう」という程度に解釈される可能性さえある。

自己投資に多く必要なのは時間だ。例えば職住近接の住居にお金をかけて勉強や人付き合いの時間を増やすなど、「時間を買う」ことが有効な自己投資になり得る場合がある。

山崎 元

経済評論家