2024年1月1日に食道がんで亡くなった人気経済評論家の山崎元さん。「余命3カ月」を宣告され闘病中だった山崎さんが、これから社会に出る息子へ、そして読者たちに伝えたかったこととは? 遺作となった『経済評論家の父から息子への手紙』(Gakken)から、ご紹介します。
「人間関係は重要な資産」付き合うべき人間の〈3つのタイプ〉とは? 余命3か月の山崎元さんがどうしても伝えたかったこと
「頭のいい奴」、「面白い奴」、「本当にいい奴」と付き合う
人間関係は重要な資産だ。一般に、自分を変える方法は、付き合う人間を変えるか、時間の使い方を変えるかの2通りだと言われている。
付き合うと好影響をもたらす「頭のいい奴」、センスが良くてチャンスを引っ張ってくる「面白い奴」、真に心を許せる「本当にいい奴」、と積極的に付き合おう。そのためには、自分が3種類のどれかの人間になる必要がある。
人間関係の基本は「時間厳守」と「爽やかな挨拶」
なぜ重要かは知っているはずだ。引き続き実行せよ。
勉強会は幹事を引き受ける
人脈と知識を拡げる上で「勉強会」は有力な手段だ。自分で主宰するか、幹事を引き受けよう。自分が主導する勉強会だと、テーマ、講師、スケジュール、勉強会のメンバーを自分に都合良く選ぶことができる。また、会の連絡などを通じてメンバーとの人間関係を強く結ぶことができるし、会の世話を通じて多少の「恩」を売ることもできる。
父は遅くまでこのことに気づかなかった。勉強会には、もっぱら「呼ばれる人」で、それで満足していた。ビジネスパーソンとしてはうかつだった。今になって反省している。
小さな話なのだが、息子には伝えておきたい。
会食は手抜きをするな
政治家の動静を見ると、彼らは毎日のように会食している。重要な話を進める上で会食は大切なセッティングだ。「仕事は会食や飲酒なしにできる」と言う人の多くは、たいして重要な話をしていないだけだ。
仕事でもそれ以外でも会食にあって重要なことは「手を抜くな」に尽きる。大変だと思うかもしれないが、慣れの問題だ。
場所を設定する幹事になった場合は、使用する店に必ず一度は行っておけ。ネットの情報だけで選んだ店をいきなり使うと、残念な食事や場所であるケースが多々ある。また、重要な会食の場合、事前にメニューを知り場所に慣れておくことが大事だし、有利な材料になることがある。一度訪ねておくと店側からの印象が良くなる点も見逃せない。
食事にあっては、個々の参加者がどのくらい飲んだり食べたりしていて、どういう気分と状態にあるかを常に把握することを習慣としよう。自分の飲食ペースを調整しつつ、飲み物の追加注文や、食事の取り分けなどで、気を利かせるといい。
そこまでするか? するのだ! 大丈夫だ。慣れると自然にできる。なお、初めて訪れた店や紹介された店が気に入った場合は、間を置かずに(1カ月以内に)再訪して、「前回が美味しかったのでまた来た」と言うと、たいていは顔と名前を覚えてくれる。向こう1年間は有効だ。