平日の午前中にファミリーレストランに押し寄せる高齢者たち。そこには物価上昇が続くなか「コスパ」を優先する高齢者の姿がありました。いまどきの高齢者の実情とともに、シニアのなかでも60代のうちに出来ることを考えていきましょう。
70~80代になるころには「平均年金11万円」…60代のうちにできること
日本銀行が全国の満20歳以上の個人を対象に行った『第96回 生活意識に関するアンケート調査』(調査期間:2023年11月9日~12月5日)によると、「1年前よりも景気が悪くなった」と回答したのは58.9%。昨年9月調査では55.0%、6月調査では49.6%で、「景気が良くなった」の回答も減少していることから、「景気が悪くなっている」と感じている人が増えていることが分かります。
また「1年後の景気」に関して、「良くなる」が8.4%、「悪くなる」が38.5%。その差は昨年12月▲30.1%。昨年9月▲30.1%、昨年調査と変わらず、6月調査では▲15.8%。将来を悲観している人のほうが優勢、という状況が続いています。
高齢者に限れば、生活を支える年金が2024年4月支給分から2.7%引き上げとなり、2年連続の増額と歓喜のはずが、年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」も2年連続で発動されるため、増加率は実際の賃金の伸びに比べて0.4ポイント目減り。物価上昇分を超えることはなく、厳しい家計運営が続きます。
さらにネガティブな話を続けるなら、これから先、年金の目減りは既定路線で、現在の60代が70~80代になる2040年代には、2割減は確実です。現在、厚生年金の平均受給額は併給の国民年金と合わせて14万4,982円。働いて収入を増やすことが難しくなる年のころには、手にする年金が平均11.5万円ほどの水準になるということになります。
――年金月11万円
なかなか厳しいことはイメージがつくでしょう。そのためにまだシニアとしては若い60代のうちにできることを実践すれば、これから先の不安を減らすことができるでしょう。
①60代にできること:収入を増やす
正攻法といえるのは、やはり元気なうちは働き、給与収入を得ること。昨今60代前半の就業率は7割、60代後半は5割に達し、70代前半でも3割の人は働いています。定年後も働くというのが、いまどきのスタンダードです。また定年後も厚生年金に入れるなら、保険料を払った分だけ年金額も増加。また国民年金に未加入期間や未納機関があるなら、高齢任意加入で満額受給を目指すことも重要です。
②60代にできること:収支を常に把握し見直す
現役時代に比べて、収入が大きく減る60代。定年により3~4割、現役完全引退し年金生活に入るタイミングではさらに3~4割減となります。そのようななか、大切なのは収支をコントロールすること。常に「支出が収入を上回らない」ように生活できれば、老後の不安は大きく減少します。
[参考資料]