投資環境が大きく変化するなか、従来の方法だけでは自身の資産を守ることが困難になりつつある。そこで注目すべきはオルタナティブ投資。上場株式や債券といった伝統的資産との相関性が低く、リスク分散の効果が期待できる。これから日本の富裕層が取り入れるべきオルタナティブ投資、その戦略について、LUCAジャパン株式会社の共同創業者でありCEOのシデナム慶子氏に話を聞いた。

オルタナティブ投資は「良質なファンドマネージャー」が決め手

オルタナティブ(Alternative)は、「代替」を意味する。公開市場で取引される株式や債券を「伝統的資産」と呼ぶのに対し、それ以外の選択肢を「オルタナティブ投資」と総称する。

 

オルタナティブ投資の定義は広く、非公開企業株式への投資である「プライベート・エクイティ投資」、公開市場での資金調達以外のローン債権への投資である「プライベート・デット(クレジット)投資」、不動産やインフラ等への投資、貴金属などのコモディティ、アートや高級時計、国産ウィスキーなどの現物資産もオルタナティブ投資のひとつ。総じて言えることは、専門知識がなければ投資しにくいということだ。

 

LUCA ジャパン株式会社共同創業者、CEOシデナム慶子氏
LUCA ジャパン株式会社共同創業者、CEOシデナム慶子氏

 

「公開市場で取引される株式や債券など、複数の金融商品を分散化し、常に利益を追求することを目的とした『ヘッジファンド』もオルタナティブ投資のひとつです。比較的知名度が高いので、興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。私は資産運用業界に20年以上身を置いていますが、オルタナティブ投資の中でもヘッジファンドが機関投資家によって運用され始めたのは25年くらい前のことで、プライベート投資戦略は15年ほど前から運用残高が大きく増えるようになりました。2008年のリーマン・ショックを機に、リスク分散の重要性が強く意識されるようになったことがきっかけです。プライベート・エクイティを中心としたプライベートアセットに関しては世界の市場規模は毎年10%以上の伸び率を記録し、2028年までに23兆ドルになると見込まれています」

 

公開市場との相関関係が低いオルタナティブ投資は、投資対象ごとに個別要因が付きまとう。また日次での売買可能な株式や債券に比べて相対的に流動性が低く、5~10年程度の中長期での投資になる。市場で取引されていない対象への投資のため、投資判断は非常に困難だ。

 

「オルタナティブ投資は判断材料となる情報へのアクセスが難しく、専門知識を持たない人には見極めが難しい投資であることは確かです。そのため、プロの投資家であるファンドマネージャーに資金を預けるというファンド投資が正攻法だといえるでしょう。オルタナティブ投資はファンドマネージャーのパフォーマンスの格差が大きく、いかに腕の良いファンドマネージャーを選ぶかが重要です」

 

日本初の「オルタナティブ投資プラットフォーム」を展開

シデナム慶子氏がCEOを務めるLUCAジャパンは、金融業界でグローバルな経験を蓄積したメンバーが、オルタナティブ投資の機会と効率化のサポートを提供している。

 

「非公開企業株式への投資である『プライベート・エクイティ』や、主に中堅企業を対象としたローンである『ダイレクトレンディング』など、オルタナティブ投資は仕組みが複雑でリソースも少ないため、しっかりと“勝てる戦略”を立てられるファンドマネージャーが少ない。その点、LUCAジャパンにはグローバルな経験を有する人材が揃っておりますので、投資家の方々にも安心していただけるはずです。世界基準の優良投資対象を提供し、『資産をしっかり増やす成功体験を積み重ねていただく』ことをミッションに業務を展開しています」

 

同社の事業モデルは投資家から支払われる手数料により成立している。投資家が資産を増やすことが同社の成長にも繋がっているため、「売って終わり」ということはありえない。常に投資家の目線で投資対象を見極めているとシデナム氏は力説する。

 

「不良な投資対象を紹介するようでは本末転倒。私たちと投資家の皆さんは、“同じ船に乗っている”とイメージしていただければ分かりやすいのではないでしょうか」

 

LUCAジャパンは、インターネット上に「日本初のオルタナティブ投資プラットフォーム」を開設した。デジタル化によって複雑な投資行程を効率化し、ワンストップ完結させることで幅広い層にチャンスを提供する。

 

「オルタナティブ投資は10年単位の長い目で見ながら運用する対象も珍しくありません。プラットフォームにログインさえすれば、いつでもどこでも情報を確認可能な環境を整えることが、投資家の方々と信頼関係を築くためにも必要不可欠でした。またオルタナティブな投資対象は公開市場で取引されているわけではないので、クリックひとつでトレードが完結するものではありません。そのため、プロセスの効率化を実現することが私たちの使命です。現在はプラットフォーム上で『口座開設』から『投資対象の詳細情報チェック』、そして『資料ダウンロード』まで完結できる環境を完備しております」

 

資産防衛における「オルタナティブ投資」戦略

インフレ・地政学リスクの高まりで投資環境は大きく変わった。そのようななか、伝統資産を中心としたポートフォリオでは資産を守ることは難しいだろう。そこで市場との相関性の低いオルタナティブ投資への関心が高まっているのだが、ネックになるのが参入ハードル。前出の通り、判断基準となる情報へのアクセスが難しく、また海外のオルタナティブファンドは最低投資金額が通常5億~10億円といわれ、気軽に検討できるものではない。

 

そこにオルタナティブ投資プラットフォームを手掛けるLUCAジャパンの登場である。オルタナティブ投資へのアクセスは格段とスムーズになり、デジタル化の進展によりオルタナティブファンドの最低投資金額を数千万円単位に引き下げることも可能になったという。

 

身近になるオルタナティブ投資。これからどのように向き合っていけばいいのだろうか。

 

「世界の富裕層を対象にしたある調査では『ポートフォリオの中でオルタナティブ投資が占める割合は18%程度」という結果が出ています。この調査でのオルタナティブ投資はプライベート・エクイティや不動産ファンドのことですが、5年前の結果に比べ8%ほど上昇しています。オルタナティブ投資への関心が高まっていることがここからも読み取ることができますが、私たちは『15~20%程度』がポートフォリオに占めるオルタナティブ投資の適正値だと考えます。相関性の低いオルタナティブ投資を組み入れてリスクを分散させていくことが、これからの資産防衛において必須事項となるでしょう」

 

株式相場、金利、為替と、近年変動幅が非常に大きく、難しい市場環境が続いている。そのような環境下、米国では市場価格の変動に左右されにくい「プライベート・デット投資」の注目が高まっているという。高い利回りに加え、インフレを避ける効果も期待される。2月7日に開催されるセミナーでは、日本初登場の「米国プライベート・デットファンド」の情報も解禁となるという。またとないチャンス、期待したい。