買い物難民の救済手段にも!?「無人決済店舗」の現状の課題とこれから
このように無人店舗業界ではこれまでの課題であった酒類販売時の年齢確認や盗難リスクを解消する新たなテクノロジーが次々に考案されており、迫りくる人材不足問題や業務効率化の一助となっています。
一方で、無人決済店舗にはまだまだデメリットや課題も多いのが現状です。人件費がかからないため、長い目で見れば確実なコストカットが期待できる無人決済店舗。しかしながら専用のレジ端末やカメラ、センサーの設置など、初期費用が高額になってしまう一面もあり、初めから大幅なコストカットを期待できるわけではありません。
また無人決済店舗は増えてきたとはいえ、まだまだ珍しい存在です。
初めて無人決済店舗を利用する際の消費者の心理的ハードルは高く、「使ってはみたいけれど、なんだか難しそう……」といった思いから尻込みしてしまう消費者もいます。
さらにそれが高齢者となれば心理的ハードルはますます高くなりますし、そもそも店員との会話を楽しみに来店する方もいるでしょう。今後、超高齢化社会の日本で無人決済店舗を普及させるには、高齢者を含む初めての利用者へのサポート体制を万全に整え、シンプルでわかりやすい利用方法を確立する必要があります。
しかしこれらのデメリットを解消していくことができれば、「無人決済店舗」は少ない従業員で運営できる24時間営業や、待ち時間の少ない効率的な買い物、はたまた有人店舗では採算が取れず、出店できずにいた過疎地への出店も可能。近所に商店がなく交通手段もない「買い物難民」への救済手段にもなり得るでしょう。
誰もが当たり前に無人決済店舗を利用できるようになるには、もう少し時間がかかるかもしれません。しかし無人決済店舗は、着実に私たちの生活に根付き、これからの暮らしを彩るツールの1つとなっていくでしょう。
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吉田康介
フリーライター