最新型の冷蔵庫は冷凍・チルド技術が著しい進化をみせており、食品の鮮度保持については業務用レベルの機能を搭載した機種も登場しています。食品が長持ちし、より美味しく冷凍できる機能が各製品に搭載されるようになったことで、まとめ買いした1週間分の食品もムダなく使い切れるようになり、食品ロスの削減にもつながっています。本記事では、「ただ冷やすだけ」に留まらず、生活の質向上にも貢献する最新の冷蔵庫事情を紹介します。
鮮度・味を保つ冷凍技術に、庫内カメラによる在庫管理…単に“冷やす”だけじゃない、「冷蔵庫」の進化の最前線 (※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

共働き世帯の増加でまとめ買いが定着…冷蔵庫は“大容量”が選ばれやすく

冷蔵庫カメラを搭載した日立グローバルライフソリューションズの冷蔵庫
冷蔵庫カメラを搭載した日立グローバルライフソリューションズの冷蔵庫

 

冷蔵庫の容量を選ぶ基準として、一般的には「1人あたり70L×家族の人数+常備用120~170L+予備100L」とされています。ところが実際は、家族の人数にかかわらず大容量タイプが選ばれる傾向にあります。

 

その理由は大きく3つ。1つめは、共働き世帯の増加です。共働き世帯数は1990年代半ばに専業主婦世帯数と逆転して以来増え続け、2022年時点で専業主婦世帯539万世帯に対して共働き世帯1,262万世帯と2倍以上※。それに伴い、週末にまとめ買いする世帯が増えているのです。(※参考:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html)

 

2つめは、お米や粉類を冷蔵庫内で保存する人が増えたこと。これらはかつて常温で保存することが多かったのですが、お米は密閉容器に入れて冷暗所で保存したほうが鮮度と美味しさを保てることが広く知られるようになりました。

 

また一度開封したお好み焼きやホットケーキなどの粉類は、高温多湿下でアレルギー症状を引き起こすダニが繁殖することがあるため、いずれも冷蔵庫で保存することが推奨されています。

 

ほかにも常温保存できる調味料類も冷蔵庫に保管するなど、冷蔵庫をパントリーとして使用する人が増えています

 

そして3つめは、大容量モデルのほうが年間消費電力量を抑えられるケースがあること。

 

一般的には小型冷蔵庫を冷やすより、大型冷蔵庫全体を冷やすほうが、よりパワフルに冷却する必要があるため電気代が高いイメージがありますが、冷蔵庫に関して必ずしも当てはまりません。

 

大容量モデルほど省エネ性の高い機器や部材が採用されているため、電気代が抑えられるのです。たとえばシャープの350L冷蔵庫『SJ-W358K』の年間消費電力量は420kWh/年であるのに対し、502L冷蔵庫『SJ-GK50K』の年間消費電力量は240kWh/年と、大幅な省エネを実現しています。

 

ちなみに10年以上前の古い冷蔵庫を最新冷蔵庫に買い替えるだけでも、年間消費電力量が40%前後ダウンできる場合があります※。とくに近年は、真空断熱材を薄型するなどして本体の幅や奥行きはそのまま容量アップを実現した冷蔵庫が多数登場していますので、同じ設置スペースでも容量アップがねらえるかもしれません。

 

一例として三菱電機の『MR-MX46H』(2022年)と『MR-MZ49J』(2023年) の幅・奥行きは同じですが、容量は455Lから485Lと買い物かご1杯分の30Lもアップしています。

(※参考:https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/kaiteki/topics/20210630.html)