複雑で深刻な社会課題である「食料廃棄」。その解決に向けて世界中で様々な取り組みが行われています。近年では各企業が技術開発に注力し、より効果的な手法が模索されています。日本では、パナソニックホールディングスや東芝グループが最新技術を駆使し、独自の取り組みを行っています。こうした技術の進歩が、食品ロス削減に貢献する可能性が高まっているのです。
果物・野菜の熟度が1秒で明らかに?技術革新がもたらす「食品ロス問題」解決への希望 (※写真はイメージです/PIXTA)

世界が取り組むフードロスへの動き

今年1月、米ラスベガスでテクノロジー見本市「CES 2023」が開催されました。そのなかで注目を集めたのは、オランダのOne Thirdという企業です。同社は、出荷した農作物のロス削減に向けたセンシング機器を披露しました。このセンシング機器は、赤外線センサーを使用して収穫した野菜や果物の熟度を推定するシステムを装備しています。

 

これまで、熟度の進んだ野菜や果物を出荷した場合、近くの店舗では販売できても、遠方に届ける際には輸送中に商品として販売できなくなってしまう、というケースが多くありました。見た目だけでは判断が難しいため、この問題に対するロス削減は難航していました。

 

しかし、この機器を使うことで、わずか1秒でその食材の熟度が数値化されます。つまり、熟度の高い食材を近い店舗へ、逆に熟度の低い食材を遠方の店舗へ送ることが可能となり、商品が店頭に並ぶ期間を延ばすことが可能となります。商品が長く店頭に並ぶことで、より多くの人々に利用され、食品ロス削減に貢献できるのが狙いです。

 

現在、この機器が対応できる食材はアボカド、イチゴ、トマト、ブルーベリーであり、マンゴーやバナナ、モモ、ブドウに対応した機器も開発中とのことでした。

 

飲食店の食品ロス削減に向けたシステムも開発されています。同じくオランダの企業であるOrbiskが開発した技術です。

 

ゴミ箱の上方に設置されたセンサーユニットによる画像認識技術により、捨てられた食材の種類や量などを識別できるというもの。さらに、食器から捨てられた場合は客の食べ残し、まな板から捨てられた場合は調理時のロスなど、破棄された場所やシーンも判別できるといいます。

 

このシステムによって集計されたデータを活用することで、食材の仕入れ量の調整が可能となり、食品ロスを削減することができます。すでに欧州では、約60店舗の飲食店で導入されており、その成果が反映される日も近いでしょう。

 

 

出典:

「未来の食プロジェクト」を開始 共創パートナーとフードロス削減への貢献や新たな食の体験価値を創造|パナソニックホールディングス株式会社

https://news.panasonic.com/jp/press/jn230330-6

スマートフォンアプリサービスによる 食生活改善と食品ロス削減の実証実験について|サッポロホールディングス株式会社

https://www.sapporoholdings.jp/news/dit/?id=9021

 

 

山河 宗太

OFFICE-SANGA代表