資産を増やす方法の一つとして人気の「株式投資」ですが、期待できるリターンは売却益や配当だけではありません。なかには、商品券や自社商品、カタログギフトなどで株主に還元する「株主優待」を導入している企業があります。しかし、指定期日までに株式を保有していなければ、株主優待が受け取れない注意点があります。そこで今回は、株主優待の概要とおすすめの株主優待を紹介します。株主優待を受け取る方法もあわせて紹介するので、優待投資に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
投資額「2,000円未満」でもらえる優待も!おすすめの「株主優待」10選 (※画像はイメージです/PIXTA)

株主優待とは?誰でも受け取れるのか

株主優待とは?(画像/PIXTA)
株主優待とは?(画像/PIXTA)

 

近年、原油高や円安の影響によって物価が上昇傾向にあります。物価が上昇すると、今年は1万円で購入できていた商品が、翌年になると1万円以上の金額を出さなければ買えなくなってしまいます。

 

このような物価高の状況において、ほぼ利息がつかない貯金だけで備えるのは非常に危険です。将来に備えるためにも、株式投資などの資産運用を取り組んでみるのも手段の一つです。株式投資には、配当金や株主優待が受け取れるメリットもあるので、将来に不安を感じている人は、株式投資を始めてみるとよいでしょう。

 

株主優待とは、企業が株主に対して商品券や自社商品、カタログギフトなどを贈る制度です。株主への利益還元が目的とされる一方で、自社サービスを提供することで企業イメージや知名度を高める狙いもあります。

 

株主優待は、指定期日に一定数以上の株式を保有していれば、誰でも受け取れます。ただし、株主優待が廃止されたり、優待対象の保有株数が変わったりするケースがあるので注意しましょう。

おすすめの株主優待10選

株主優待はどんなものがおすすめ?(画像/PIXTA)
株主優待はどんなものがおすすめ?(画像/PIXTA)

 

さまざまな種類がある株主優待ですが、どれを選べばいいのか迷ってしまう人も多いでしょう。ここでは、おすすめの株主優待を優待内容や種類別に紹介します。

 

なお、選定方針は下記のとおりです。

 

●株主全体に人気がある株主優待

●男性に人気がある株主優待

●女性に人気がある株主優待

●意外性・面白みのある株主優待

●1株保有でもらえる株主優待

 

それでは、1つずつ見ていきましょう。

①KDDI(9433):カタログギフト

[図表1]KDDI(9433)の優待内容

 

KDDIは、携帯電話のキャリアとして多くの人が利用している「au」などを展開している企業です。KDDIでは、「au PAY マーケット」から厳選したグルメやクーポンをまとめたカタログギフトを提供しています。カタログギフトは株主全体に人気がある株主優待です。

 

4月27日時点の株価4,169円を基準にすると、優待獲得するための最低金額は416,900円ということになります(1株4,169円×100株=416,900円)。

 

参照元:KDDI 公式サイト(https://www.kddi.com/corporate/ir/individual/stockholder/)

②日本取引所グループ(8697):QUOカード

[図表2]日本取引所グループ(8697)の優待内容

 

日本取引所グループは、東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合して誕生した企業です。株主優待としてQUOカードを提供しており、継続保有をすることで優待内容がさらに充実します。QUOカードも株主全体に人気がある株主優待です。

 

4月27日時点の株価2,105.5円を基準にすると、優待獲得するための最低金額は210,550円ということになります(1株2,105.5円×100株=210,550円)。

 

参照元:日本取引所グループ 公式サイト(https://www.jpx.co.jp/corporate/investor-relations/shareholders/incentives/index.html)

③ビックカメラ(3048):買い物優待券

[図表3]ビックカメラ(3048)の優待内容

 

ビックカメラは、実店舗とネットショップを用いて家電や日用品などを販売している企業です。ビックカメラでは、指定店舗で利用できる買い物優待券を提供しています。家電の買い物券は男性から人気です。

 

4月27日時点の株価1,131円を基準にすると、優待獲得するための最低金額は113,100円ということになります(1株1,131円×100株=113,100円)。

 

参照元:ビックカメラ 公式サイト(https://www.biccamera.co.jp/ir/service/index.html)

④資生堂(4911):化粧品

[図表4]資生堂(4911)の優待内容

 

資生堂は、化粧品の製造や販売を中心に事業展開している企業です。株主優待として自社商品を提供しています。化粧品は女性から人気です。

 

4月27日時点の株価6,713円を基準にすると、優待獲得するための最低金額は671,300円ということになります(1株6,713円×100株=671,300円)。

 

参照元:資生堂公式サイト(https://corp.shiseido.com/jp/ir/investors/preferential.html)

⑤ポーラ・オルビスホールディングス(4927):化粧品

[図表5]ポーラ・オルビスホールディングス(4927)の優待内容

 

ポーラ・オルビスホールディングスは、化粧品や美容サプリメント、ボディウェアの企画開発や販売をしている企業です。株主優待では、自社商品と交換できるポイントを提供しています。

 

4月27日時点の株価1,842円を基準にすると、優待獲得するための最低金額は184,200円ということになります(1株1,842円×100株=184,200円)。

 

参照元:ポーラ・オルビスホールディングス公式サイト(https://ir.po-holdings.co.jp/ja/Stock/Yutai.html)

⑥大王製紙(3880):日用品

[図表6]大王製紙(3880)の優待内容

 

大王製紙は、ティッシュペーパーや段ボール、おむつ、マスクなどの製造・販売している企業です。株主優待では、自社商品を提供しています。日用品も株主全体に人気がある株主優待です。

 

4月27日時点の株価1,070円を基準にすると、優待獲得するための最低金額は107,000円ということになります(1株1,070円×100株=107,000円)。

 

参照元:大王製紙 公式サイト(https://www.daio-paper.co.jp/ir/stock/yutai/)

⑦マサル(1795):宝くじ

[図表7]マサル(1795)の優待内容

 

マサルは、ビル修繕やリニューアル、防水工事を中心に事業展開している企業です。株主優待としてサマージャンボ・年末ジャンボ宝くじを株主に提供しています。せっかくなら、意外性や面白みのある株主優待を探したいという方におすすめです。

 

4月27日時点の株価3,295円を基準にすると、優待獲得するための最低金額は659,000円ということになります(1株3,295円×200株=659,000円)。

 

参照元:マサル 公式サイト(masaru-co.jp/outline/company.html)

⑧JFEホールディングス(5411):工場見学

[図表8]JFEホールディングス(5411)の優待内容

 

JFEホールディングスは、製鉄業を中核としてエンジニアリング事業や商社事業を展開している企業です。株主優待では、自社グループの製鉄所や造船所の工場見学を提供しています。意外性や面白みという観点で選ぶなら、JFEホールディングスの株主優待もおすすめです。

 

4月27日時点の株価1,591円を基準にすると、優待獲得するための最低金額は159,100円ということになります(1株1,591円×100株=159,100円)。

 

参照元:JFEホールディングス 公式サイト(https://www.jfe-holdings.co.jp/investor/stock/factory_tour/index.html)

⑨上新電機(8173):買い物優待券

[図表9]上新電機(8173)の優待内容

 

上新電機は、関西地方を中心に家電製品や情報通信機器などの販売・修理事業を展開している企業です。株主優待として買い物優待券を提供しており、1株保有から優待対象となっているのが特徴です。

 

4月27日時点の株価を基準にすると、優待獲得するための最低金額は1,987円ということになります(1株1,987円×1株=1,987円)。

 

参照元:上新電機 公式サイト(https://www.joshin.co.jp/joshintop/ir.asp)

⑩京セラ(6971):自社商品の優待価格販売

[図表10]京セラ(6971)の優待内容

 

京セラは、通信機器や医療機器、自動車部品、半導体部品などを製造している企業です。株主優待として自社商品・サービスを特別価格で購入できるカタログや、株主限定プランを提供しています。

 

4月27日時点の株価を基準にすると、優待獲得するための最低金額は6,956円ということになります(1株6,956円×1株=6,956円)。

 

参照元:京セラ 公式サイト(https://www.kyocera.co.jp/ir/s_info/dividend.html)

株主優待をもらうには?

株主優待をもらうには?(画像/PIXTA)
株主優待をもらうには?(画像/PIXTA)

 

 

株主優待を受け取る手順は、以下の3ステップです。

 

1. 証券口座を開設する

2. 株式を購入する

3. 権利確定日まで保有する

 

証券口座の開設に1〜2週間ほどかかるケースもあるので、可能な限り早く準備を始めておきましょう。

 

1. 証券口座を開設する

まずは株式を購入するための証券口座を開設します。

 

証券会社に行く手間をかけたくない人は、インターネット上で手続きができるネット証券がおすすめです。また、ネット銀行から入金できる証券会社を選べば、スマホやパソコンだけで取引できるので、仕事や家事に忙しい人でも簡単に株式を購入できるでしょう。

 

2. 株式を購入する

証券口座の開設が完了したら、優待内容や株価を見ながら購入する銘柄を選びます。優待内容は、証券会社や企業サイトで確認できます。

 

なお、優待内容が変更されたり廃止されたりする場合もあるので、購入前の確認を忘れないようにしましょう。証券会社は「随時開示情報」、企業サイトでは「IR(投資家)情報」で確認できます。

 

3. 権利確定日まで保有する

株主優待を受け取るには、権利確定日に株主名簿に記載されていることが必要です。ただし、株主名簿への記載には2〜3営業日かかるため、権利確定日を含む3営業日前の「権利付最終日」までに株式を購入しなければ株主優待が受け取れません。

 

なお、権利付最終日の大引け(取引終了)後に株式を売却しても株主優待が受け取れます。しかし、優待を目的とした多くの投資家が株式を売却するため、権利落ち日は株価が下落する可能性が高くなるので注意しましょう。

まとめ

株式を購入する際は、配当と株主優待を含めた総合的な利回りを見ることが大切(画像/PIXTA)
株式を購入する際は、配当と株主優待を含めた総合的な利回りを見ることが大切(画像/PIXTA)


 

株主優待には、日用品を選んで生活費を節約したり、グルメや体験などの非日常を楽しめたりするメリットがあります。ただし、権利付最終日までに一定数の株式を購入しなければ株主優待を受け取れない点には注意しましょう。

 

また、株式を購入する際は、配当と株主優待を含めた総合的な利回りを見ることが大切です。一方の利回りだけを確認していると、株価に対する割高感から投資機会を失ってしまう可能性があるので、総合的に見たうえで投資判断していきましょう。

 

 

東本 隼之

ファイナンシャルプランナー(AFP・2級FP技能士)、マネーライター

 

独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。金融記事を中心に300記事以上の執筆・編集・監修を担当。税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続分野を得意とし、自身の経験に基づいたライティングを強みとしている。難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意。

 

※投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。本稿の情報を利用した投資行動の結果について、筆者ならびに幻冬舎グループは一切の責任を負いません。