近年のAI技術の発展によって、以前は難しいとされていた「無人店舗」が実現され始めています。なかでも日本国内に増えつつある「無人コンビニ」について、技術面・生活面の両方から分析し、その最新事情をご紹介します。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
「無人決済店舗」の躍進。ファミマやローソンなど日本大手企業の最新事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

西欧・北欧で広まりつつある「無人決済店舗」

日本以外に視野を広げてみても、実験店舗と呼べるものは世界中で展開が始まっていますが、先行する米国のAmazon Goと、英国の「Amazon Fresh」という別ブランドで展開されている店舗を除けば、まだこれからといったところです。

 

今年2023年1月に米ニューヨークで開催されたNRF Retail's Big ShowのMicrosoftブースに展示されていたZabka nanoの体験店舗(筆者撮影)
今年2023年1月に米ニューヨークで開催されたNRF Retail's Big ShowのMicrosoftブースに展示されていたZabka nanoの体験店舗(筆者撮影)

 

しかし、たとえばポーランド発Zabkaグループの無人決済店舗「Zabka nano」と「Zappka」は、比較的大規模な展開を実現しています。

 

前述したAiFiを技術の基としており、昨年2022年秋時点で同国内に50店舗以上がオープンしており、特にZabka nanoは、北欧・西欧では珍しい「24時間365日利用できる店舗」という触れ込みで実装されています。

 

労働規制が厳しくコンビニ業態の少ない西欧や、働き手の少なさなどから人員を確保しづらい北欧においてZabkaグループが推進する「無人決済店舗」の仕組みは注目されています。

 

「技術で課題を解決する」という点で、「無人決済店舗」は世界中で徐々に受け入れられつつあります。今後の展開が非常に楽しみな分野です。

 

 

鈴木淳也/Junya Suzuki

モバイル決済ジャーナリスト/ITジャーナリスト。国内SIer、アスキー(現KADOKAWA)、@IT(現アイティメディア)を経て2002年の渡米を機に独立。以後フリーランスとしてシリコンバレーのIT情報発信を行う。現在は「NFCとモバイル決済」を中心に世界中の事例やトレンド取材を続けている。近著に「決済の黒船 Apple Pay(日経BP刊/16年)」がある。