360度に映し出された映像の中で様々な体験ができるVR(バーチャル・リアリティ:仮想現実)。エンターテインメントの領域で多く活用されてきましたが、実はビジネスでの活用も進んでいます。VRの最新技術、ビジネス事例、トレンドについてご紹介します。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
買い物、旅行、物件選びも!身近で活用広がるVRの世界。今後の動向も大胆予想 (※写真はイメージです/PIXTA)

VR・AR・MRの違いとは?

ところで、「VR」と「AR」「MR」の違いはご存知でしょうか? どれも近年、よく聞く言葉ですが、これらは似ているようで明確な違いがあります。

コンピュータ上に仮想空間を作り出し、あたかもそこにいるかのような感覚を体験できるのが「VR」(Virtual Reality : バーチャルリアリティ/仮想現実)です。パソコンやスマートフォンでも体験できますが、VR用のゴーグルを装着すると、完全にその世界に入り込むことができるのがAR・MRと大きく違う点です。

「AR」(Augmented Reality/拡張現実)は現実の風景にさまざまな情報をつけ加えて表示し、現実世界を拡張する技術です。VRと違って現実世界が主体で、スマートフォンやARグラスの画面に表示して利用するのが主流となっています。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

そして「MR」(Mixed Reality/複合現実)は「現実世界と仮想世界を融合させた世界を作る技術」です。VRのような仮想オブジェクトをARとして現実世界に重ね合わせたもので、いわばVRとARを組み合わせたものだといえるでしょう。

 

意外に古いVRの歴史

これまでみてきたように、VRの活用範囲は拡大を続けています。VRが普及し始めたのは2016年頃だとされていますが、実はその歴史は意外に古く、1968年にコンピュータ研究者のアイバン・サザーランドという人物が史上初となるヘッドマウントディスプレイを開発したことが始まりだとされています。

その後、1990年代に入るとアップルが「QuickTimeVR」を発表し、最初のVRブームが起こります。しかし、当時はまだ大掛かりな設備が必要で、値段も高かったため、一般に普及するまでにはいたりませんでした。

1度は表舞台から姿を消したVRですが、2012年にOclusVR社のヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」が発売されると再び注目されるようになりました。2013年には開発キットが発売され、コンテンツ制作が盛んに行われるようになります。

当初はゲームで注目を集めたVRですが、その後はゲーム以外の分野でも活用されるようになり、一般にも普及し始めました。じつに発表から50年以上の時間を経て普及したわけですね。

現在はVRデバイスの市場が拡大し、需要が伸び続けています。ヘッドマウントディスプレイの性能も高機能化し、より安価なものが次々と発表されてトレンドとなっています。