「受動的な教育」から「能動的な教育」への変化
これまでの教育は「暗記させること」に特化しており、とにかく多くの知識を詰め込むためのカリキュラム主体でした。この「詰め込み型」の教育形態は、長年にわたって受け継がれてきました。
決められた時間に学校へ通い、興味があろうとなかろうと、クラスごとにひとりの教師から勉強を習うというこの風習に、ひとつの変化が生まれようとしています。それは「受動的な教育制度」から「能動的な教育制度」への変化です。
読み書きなどの基本的な勉学は必要不可欠であり、これを省くということはありませんが、教わるだけの一方通行から、自分が興味を持ったことを深堀りしていこうとする動き。これこそ大きな変化だといえるでしょう。
こうした動きが生まれた背景には、教育テックの発展があります。かつては教師が黒板に書いたことをノートに記して覚えた学校教育ですが、今では試験的にではあるものの、PCやタブレットを使って授業が行われています。
これまでは、教師が一方的に教える受け身の教育が一般的でした。しかしこうしたスタイルでは、各生徒がどの程度理解できているのか、教師が把握することは非常に困難でした。結果として、生徒一人ひとりのフォローができず、格差が広がるばかりでした。
しかし教育のデジタル化が進めば、教師と生徒の間でのアクティブ・ラーニングが可能になります。タブレット端末に直接書き込み送信できるので、教師は1台の端末で生徒全員の理解度を把握することができるようになります。
同時に、教師と生徒の双方から発信できるようになれば、生徒からの意見や質問の機会が増えることになるので、自ら学ぶ意識を高められるでしょう。
このことは教師から教わった内容をリアルタイムで自ら調べ、能動的に知識を得る、という大きな変化をもたらすことも期待できるのです。
また、都市部と地方の地域格差解消も期待されます。一般的に都市部というのは、さまざまな職業や教育施設が集中する傾向にありますが、地方では人口が少ないうえに教育者の絶対数も不足しがちでした。
加えて、学校教育以外の塾や予備校といった教育サービスについても、都市部ではさまざまな選択肢がある一方、地方では人材不足や立地の面から都市部と比べても「選択肢」が限られます。
しかし、教育テックの発展によって、場所を選ばずに同じ質のサービスを受けられるようになります。そしてこれは対国内に留まらず、対世界であっても同様です。
「世界最高峰の教育」をどこにいても受けられる時代に
このように、教育テックの発展とは新たな学びの場を提供できるツールの誕生、と言い換えることができます。いつどこにいても、誰でも受けられる教育の実現。場所を問わずに学べるという選択肢ができたことで、これまでできなかったことが可能となりつつあるのです。
こうしたなか、世界ではインドのVedantuというEラーニングが注目されています。これは3歳から18歳を対象とした、経験豊富な教師によってライブ型授業がおこなわれています。インターネットを通じて、教師と生徒がいつでもどこでも繋がれる仕組みとなっており、わからないことなど質問が生じた場合でも、その場で解決することができるのです。
授業形式はマンツーマンの個人クラスから、多ければ数百人が同時に授業を受けられるクラスまで実に多彩。費用面においても無料と有料の2つが用意されているので、少なくとも授業を受けられない、という状況には陥りません。
毎月3,500~4,000万人もの利用者がおり、YouTubeチャンネルにもコンテンツ提供していることから、その視聴者数は実に6,500万人にものぼっています。
気になる授業内容ですが、学校のカリキュラムとは少し違っています。