技術革新により、テクノロジーの恩恵は教育現場にも浸透しはじめています。格差社会が広がる現代社会において、誰もが受けたい教育をいつでも受けられる……そのような「理想的な社会」がすぐそこに迫っているのです。テクノロジーの発展により実現されようとしている「教育」の最前線をみていきましょう。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
ケンブリッジなど「世界最高峰の授業」も受講可能に…教育×テクノロジーの現在地 (※写真はイメージです/PIXTA)

3つの年齢でグループ分けされており、いちばん低学年のグループでは、英会話やコーディングを教えています。それより上のグループでは、英語に加えてヒンディー語や数学、社会や科学に加え、コンピュータサイエンスを学べます。さらに入学試験対策が必要となる11~12年生には、医学部や工学部受験対策のクラスまで用意されているのです。

 

もちろん無料ライブが用意されていますが、安価なコースで月額1~10ドル程度、もっとも高額なものでも1,000ドル程度と、家庭への金銭的負担がほぼかからないような設定になっています。

 

日本でも徐々に普及する「オンライン留学」

(※写真はイメージです/PIXTA)
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また、先進国である日本の教育市場においても、教育テックの進化によって大きな変化が生まれています。

 

たとえば、イギリスの名門『ケンブリッジ大学』をはじめとして、オプションで「オンライン通信教育」を選べる大学が増えています。通信教育で大学に通えるとなると、ピザ申請が不要であったり、現地での滞在費が節約できたり、非常に大きなメリットがあります。海外の大学で学んでみたいが、費用面で諦めざるをえなかった人も決して少なくなかったこれまでと比較すると、海外留学のハードルが大きく下がりました。

 

オンライン留学のもっとも大きな恩恵は、なんといっても留学費用を抑えられるという点でしょう。これまで留学にかかる学費以外の費用は、渡航費で約20万円、保険などで約20万円、ピザやパスポートの申請費が約7万円と、すべてあわせると約50万円もかかっていました。加えて現地での生活費が年間250万円と換算すれば、4年間で1,000万円。この1,000万円が、オンライン留学では不要となるのです。

 

また、スケジュールの面でも非常に大きなメリットがあります。わざわざキャンパスに通う必要がないので、時差の点さえクリアできれば気軽に利用可能です。日中は仕事に追われ、夜帰宅してからしか時間がとれない人や、留学のためにいまある環境を大きく変えることに抵抗がある人であっても、オンライン留学であればスケジュールの自由度が高いため、自分の時間の都合で受講できるという強みがあるのです。

 

テクノロジーで広がった「教育の可能性」

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

技術革新によって多くのシステム、サービスが開発され、教育現場においてもさまざまな選択肢が増えてきた現代。経済格差などの根本的な課題は残されてはいるものの、「教育を受ける権利」を守るための技術革新は、日々進歩しているといえるでしょう。

 

教育の現場は、時間も場所も選ぶことなく、学ぶ意思さえあれば、いつでも学ぶことのできる、ひと世代前では考えられなかった環境が整いつつあるのです。

 

また、テクノロジーの発展により、これまでの暗記型の学習方法から、疑問に思うことを自ら探求し、答えを見つける、という考え方へとシフトする必要があるでしょう。受動的な教育から能動的な学びへ……この変革のうねりが、日本を含め世界中で始まっているのです。

 

※本記事は今後の技術進展等、実現には不確実性があるものを含んでおります。