日本フランチャイズチェーン協会による「2021年度 フランチャイズチェーン統計調査」によると、2021年度のフランチャイズ市場はチェーン数1,286チェーン、店舗数約25万店、売上高は約25兆9千億円となっています。
新型コロナウイルス感染症の拡大という環境の下でチェーン数と店舗数は減少したものの、売上は微増となっています。
本記事では、フランチャイズ経営の仕組み、メリット・デメリット、フランチャイズの人気業種、始め方、成功させるコツなどを解説します。
経営の多角化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
〈目次〉
8. まとめ
1. フランチャイズ経営とは…押さえておきたい用語もまとめて解説
最初に、フランチャイズの仕組みや、フランチャイズに関連する用語について把握しておきましょう。
1.1.「フランチャイズ経営」はブランド名を使用して開業できる仕組み
フランチャイズ経営とは、フランチャイズ本部となる親企業(フランチャイザー)に、加盟店(フランチャイジー)がロイヤリティを支払うことによって、ブランド名を使用する権利や経営ノウハウを獲得して事業を経営する仕組みをいいます。
フランチャイズ本部の主な仕事は、商品開発や仕入ルートの開拓・確保、マニュアルの作成・整備、人材の育成、宣伝・PR、などを実施して、ブランド価値の維持や顧客に提供するサービスの向上に努めることです。
一方、フランチャイズ加盟店の主な仕事は、本部から獲得したブランドの利用権や経営ノウハウなどを活用することによって店舗を運営することです。店舗の売上高をアップさせるとともに、ブランドイメージの維持・向上に寄与・貢献することが責務です。
1.1.1.「ロイヤリティ」は売上から割合で本部に支払うお金
フランチャイズのロイヤリティとは、加盟店がフランチャイズ本部に対して、売上の一部をブランド利用料や経営ノウハウなどの提供の見返りとして支払うものです。
このロイヤリティの算出方法には、主に次の3種類があります。
■ロイヤリティの算出方法
- 売上比例方式
- 利益分配方式
- 定額方式
それぞれの意味は、次のようになります。
■ロイヤリティの算出方法
ロイヤリティの 算出方法 |
概要 |
---|---|
売上比例方式 |
売上高に対して、一定の割合を乗じて算出する方法のこと。 |
利益分配方式 |
粗利益(販売価格-仕入原価)に一定の割合を乗じて算出する方法のこと。 主にコンビニで採用されている。 |
定額方式 |
毎月決まった金額をロイヤリティとして支払う方法のこと。 売上に応じて利益を得ることが可能だが、売上が低いと支払い負担が重くなる。 |
1.1.2. 業種によるロイヤリティの相場
フランチャイズのロイヤリティは業種で異なり、相場は大体次のようになっています。
■フランチャイズのロイヤリティの相場
業種 | ロイヤリティ の相場 |
特徴 |
---|---|---|
飲食店 |
3~10% |
人件費や原価率が高いため、やや低めに設定されているケースが多い。 |
コンビニ |
30~60% |
他のフランチャイズビジネスより高く設定されているケースが多い。 本部の方針、契約内容、店舗や規模などによって大きな差がある。 |
学習塾 |
10~30% |
原材料費などが不要なため、高めに設定されているケースが多い。 |
リラクゼーション |
3~10% |
多額の設備投資が必要ではないケースが多く、やや低め。 |
不動産サービス業 |
約10~25万円/月 |
定額方式が多い。 |
1.2. フランチャイズにおける「直営店」と「代理店」の違い
フランチャイズには、「直営店と加盟店」があります。また、フランチャイズと似ている仕組みに「代理店」があります。それぞれの違いを見ていきます。
1.2.1. 直営店はフランチャイズ本部が直接経営をする形態
フランチャイズの「直営店」は、フランチャイズ本部が直接従業員を雇用して店舗の経営を行う形態をいいます。
一方、フランチャイズの「加盟店」は、フランチャイズ本部と契約した加盟店のオーナーが店舗を経営する形態をいいます。
直営店と加盟店では、店舗の経営者が異なります。どういうことかというと、直営店はフランチャイズ本部が自ら経営をするため加盟店のお手本と位置付けられており、加盟店が開業する前の研修店舗として利用される場合も多いです。
1.2.2. 代理店は販売権利を得て商品やサービスを提供する形態
フランチャイズにおける本部と加盟店の関係と同様、「代理店」も代理元の会社の商品やサービスを取り扱う点は共通しています。
ただし、代理店のほうが加盟店より自由度が高く、価格や販売方法などは自社で決めることが可能です。フランチャイズの加盟店は、フランチャイズ本部の決めた価格や販売方法に従う必要があるからです。
2. 企業がフランチャイズ経営を始める10個のメリット
フランチャイズ経営の最大のメリットは、企業が新たな事業を展開する場合に、ゼロからビジネスをスタートさせる必要がないことです。
フランチャイズ経営で期待できる10個のメリットは、次のとおりです(クリックすると、説明に飛びます)。
■フランチャイズ経営のメリット10個
順番に解説します。
メリット①:新規事業として新たな収益源が作れる
新たな収益の柱を持ちたいと考えている企業は多いでしょう。そのような場合、フランチャイズ加盟による事業を新規事業として新たな収益源にすることができます。
通常、新規事業を始める際には、参入市場、競合他社、自社の経営資源などを事前にしっかり検討して事業として成立するかどうかを見定める必要があります。これらをすべて自前で検討することは非常に難しく、時間もかかります。
しかし、フランチャイズであれば、新規事業としての将来性をフランチャイズ本部と相談することができます。
つまり、フランチャイズ経営なら新規事業を始めやすく、初期コストが抑えられるため、新たな収益の柱を確立しやすくなります。
メリット②:すでに成功したノウハウを使って経営できる
フランチャイズ経営には、すでに成功したノウハウを使って経営できるというメリットがあります。
一般的に、新たに事業を始める場合は、経営に関するノウハウがない状態から事業を始める場合が多く、事業を軌道に乗せるまでに時間や費用がかかります。
しかし、フランチャイズ経営なら、すでに成功しているフランチャイズ本部の経営ノウハウを活用することができるため、スピーディかつ効率的に経営することが可能です。
メリット③:ブランド力がある状態で始められる
フランチャイズ経営では、ブランド力がある状態で事業を始めることができるメリットがあります。ブランドは一朝一夕に形成されるものではなく、長い時間をかけてじっくりと醸成される無形資産です。
フランチャイズ経営なら、本部がすでに持っているブランドを利用して事業をスタートできるため、最初から顧客の認知度が高い状態で新規事業を展開することができます。
メリット④:銀行からの融資を取り付けやすい
フランチャイズ経営は、銀行からの融資を取り付けやすいという点もメリットです。
通常、新規参入の場合は、銀行から融資を受けるのは容易ではありません。しかし、加盟するフランチャイズが社会的に知名度と信用度が高い場合は、銀行からの融資が受けやすくなる傾向があります。
メリット⑤:常に最新の設備を導入できる
フランチャイズ経営では均質な商品・サービス提供が求められるため、通常は導入に多額の費用がかかる設備でも、本部の負担により導入できることもメリットの1つです。
メリット⑥:開業コストが独自開業より少なく済む
フランチャイズ経営は、自社で独自に開業するよりも開業コストが少なくて済みます。
自社で独自に開業する場合、ノウハウがないため不要な費用をかけてしまう可能性があります。しかし、フランチャイズ経営なら、多くの開業実績とノウハウがあるため、無駄な費用をかけることなく効率的に開業することができます。
メリット⑦:開業後も本部の研修を受けて最新の情報が得られる
フランチャイズ経営は、開業後も本部の研修を受けて最新情報を得られるメリットもあります。事業環境は常に変化しているため、情報は常にアップデートしておく必要です。
もし独自に経営する場合は、外部の研修やセミナーを受ける際に費用がかかるうえ、自社で探したセミナーは必ずしも最適な内容とは限りません。
しかし、フランチャイズ本部による研修であれば経営に必要かつ最適な最新の情報を入手でき、売上アップに活かすことができます。
メリット⑧:売上の向上に専念できる
フランチャイズ経営は、売上の向上に専念できる点もメリットです。
一般的に、何か事業をする場合は、売れ筋商品の分析などのマーケティング調査をして顧客や市場の動向を探ったり、商品の陳列方法の見直しや、店舗の改装、資金調達、原材料調達などをしたりする必要があります。
しかし、フランチャイズ経営なら、本部が売上情報などを詳細に分析してくれます。また、商品の陳列方法の見直しや資金や原材料の調達方法なども本部がきめ細かく指導・サポートしてくれます。
そのため、フランチャイズ加盟店の経営者は、売上のアップに注力することができます。
メリット⑨:フランチャイズ本部が広告によって集客をしてくれる
フランチャイズ経営の場合は、本部が広告を出して集客をしてくれます。一般的に、広告・宣伝には多額の費用がかかるため、資金力のない会社は集客方法が限られてしまいます。
しかし、フランチャイズ経営であれば、本部が広告・宣伝を企画し、ネットやSNS広告、テレビCM、雑誌、新聞などへのメディア出稿によって新商品や新サービスの周知を大々的に図ってくれるケースが多いです。
メリット⑩:本部が仕入を一括で行うので、コストと労力が抑えられる
フランチャイズ経営は、本部が原材料や商品などの仕入を一括で実施するため、コストと労力を抑えられる点もメリットです。
規模が小さい会社の場合は、調達量が少ないため価格交渉力が弱く、仕入価格も高くなり、その分高い値段で売る必要があります。しかし、フランチャイズの場合は本部が大量に一括調達するため、価格交渉力が強く、比較的安価に仕入れができます。
また、フランチャイズ本部が調達先との価格交渉も行ってくれるため、加盟店は労力が抑えられます。
3. 企業がフランチャイズ経営を始める3つのデメリット
フランチャイズの経営には様々なメリットがある一方、自由に経営できないデメリットもあります。ここでは、フランチャイズ経営を始める前に知っておくべき注意点を3つ紹介します。
■フランチャイズ経営のデメリット3つ
- マニュアル化されているので独自展開がしにくい
- ロイヤリティ以外にもランニングコストがかかる
- 本部の経営に売上が左右される
それぞれ解説します。
デメリット①:マニュアル化されているので独自展開がしにくい
フランチャイズ経営をする場合、やり方は本部によってマニュアル化されているケースが多いです。そのため、独自色を打ち出して事業を展開することは困難です。
加盟店は、原則としてフランチャイズ本部の経営方針に従う必要があります。フランチャイズ本部の経営方針に背いて経営すると、ペナルティを課される場合もあります。
デメリット②:ロイヤリティ以外にもランニングコストがかかる
フランチャイズ経営では、本部に支払うロイヤリティ以外にもランニングコストがかかることを忘れてはいけません。具体的には、店舗の家賃、水道光熱費、アルバイト・パート従業員の給料……などが挙げられます。
ロイヤリティの他にかかる費用も踏まえて、事業の資金繰りを検討しましょう。
デメリット③:本部の経営に売上が左右される
フランチャイズ経営のデメリットとして、本部の経営に売上が左右されることがあることも知っておく必要があります。
フランチャイズ本部の方針が世の中のトレンドに合っている場合は、直営店・加盟店ともに売上アップが期待できます。しかし、外部環境に大きな変化があった場合や、本部や他の加盟店が不祥事を起こした場合は、全体の売上が下がってしまうリスクもあります。
また、フランチャイズ本部の経営方針が必ず正しいとは限りません。本部の方針に従って経営をしているからといって絶対に利益が出るわけではなく、事業には必ずリスクが伴うことを知っておきましょう。
4. フランチャイズ経営で人気の業種10選
ここでは、フランチャイズ経営で人気の業種を、理由や将来性なども踏まえて厳選して10種類紹介します。
年商の目安も書いてありますが、同じ業種でも、加盟するフランチャイズチェーンや地域によって異なるので、あくまでも参考として捉えてください。
①少子化でも需要の増加が見込める【幼児教育】
幼児教育の事業を始める場合は、相当の経営ノウハウが求められるケースが多いです。しかし、フランチャイズ本部を慎重に選べば、豊富な経営ノウハウを活用して幼児教育ビジネスを始められます。
日本では、急激な少子高齢化により子供の数が減少傾向にあるため、幼児教育は先行きが心配という意見もあるでしょう。しかし、その反面、我が子には充実した教育を受けさせたいと考える親は増えています。
その証拠として、参議院調査室が発行している「経済のプリズムコラム」によると、子供の人数は減っているものの、子供1人当たりの年間教育費は年々増加しているとの調査結果もあります。
教育に熱心な親は、幼児のうちから本格的な教育を受けさせるために専門的な幼児教育スクールに通わせるケースも多いです。そのため、事業サポートが充実した幼児教育のフランチャイズへの加入は、将来的にも安定した収益確保が期待できます。
なお、預かる子どもの数にもよって変わりますが、年商の目安は2,000万円~3,000万円となっています。
②業界として業績が成長傾向にある【学習塾】
学習塾フランチャイズもおすすめの業種の1つです。
ゼロから始める場合は、教室をはじめ、テキスト・問題集や講師を用意する必要があります。しかし、学習塾フランチャイズであれば、講師を確保できれば(場合によっては、講師を派遣してくれるところもあり)、テキストや問題集は本部で用意してくれます。
少子高齢化の影響が気になるところですが、幼児教育と同様、子どもの人数が減っている分、子ども1人にかけられる教育費は増加しているため、将来性にも期待が持てます。
なお、年商の目安は2,000万円~3,000万円程度です。
③小売業のなかでも人気【コンビニエンスストア】
様々なフランチャイズがあるなか、コンビニエンスストアは人気がある業種の1つです。しっかりした経営マニュアルが整備されているので、小売業に携わった経験がなくても、無理なく事業を始められます。
店舗数が多いため、競争が激しく将来性に疑問を持つかもしれません。しかし、最近のコンビニは単なる小売業としてではなく、住民票などの公的書類の取得や銀行のATMの設定、荷物の受け取り場所などの機能も併せ持つようになっており、生活における重要なインフラ機能も担っています。
そのため、地域に必要不可欠な存在として、存在意義が高まることが予想されます。
なお、加盟するコンビニチェーンや地域にもよりますが、1店舗あたりの年商は1億円を超える場合もあります。
④不況に強い事業といわれる【障がい者支援】
障がい者支援は、主に障がい者の就労サポートを行う事業です。
最近、障がい者支援に関する法整備も着々と進められており、障がい者をサポートするビジネスには根強い需要があります。
たとえば、障がい者が社会で活躍できるようにパソコンの使い方や基本的な知識などを教え、就労のサポートをする職業訓練のようなイメージです。
障がい者支援事業は景気の波にあまり左右されることがなく、不況のような経済環境下であっても、常に一定の需要が存在しています。
参入が難しいと思われがちな障がい者支援事業ですが、フランチャイズ経営であれば、本部の経営ノウハウを活用することが可能です。さらに、高い社会的意義を感じながら、息の長いビジネスを続けることもできます。
なお、利用者の数に左右されますが、年商の目安は1億円を超えることもあります。
⑤在宅介護の増加により需要が見込まれる【高齢者福祉関連】
高齢者福祉関連のフランチャイズには、訪問介護やデイサービス、高齢者向けの配食サービスなどがあります。
高齢化による在宅介護のニーズの高まりにより、在宅介護の需要は今後ますます増加することが予想されます。
高齢者の介護事業は、法人として都道府県の認可を受けなければ開業できませんが、認可済みのフランチャイズに加盟すれば、スムーズに事業を始めることができます。
なお、様々な形態があるため一概にはいえませんが、年商の目安は2,000万円~となっています。
⑥フードデリバリーの追い風で需要高【飲食店】
フランチャイズ経営を始めやすい業種の1つが、飲食店です。代表的な業態として、居酒屋、ラーメン屋、喫茶店、ファストフードなどがあります。
新型コロナウイルス感染症の拡大による時短営業などで、一時期は経営が厳しかったことはたしかです。しかし、フランチャイズの飲食店のなかには、デリバリー需要の開拓に成功し、巣ごもり需要を上手に取り込んで増益を果たしているところもあります。
なお、飲食店の年商は、業態や店舗の規模、立地などの要因に大きく左右されます。
⑦独立企業よりも断然低コスト【美容関連】
美容関連業種のフランチャイズには、エステサロン、リラクゼーションサロン、美容院などがあります。
美容関連ビジネスも、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて一時は市場が縮小しました。矢野経済研究所の「理美容サロン市場に関する調査(2022年)」によると、市場は回復傾向のあるものの、コロナ禍前とはまだ開きがあるとされています。
しかし最近では、セルフエステやセルフカラーリングといった需要を上手く取り込んで、売上増加に努めているところもあります。
美容関連は客単価が比較的高めなので、売上が見込みやすい傾向があります。そのため、顧客満足度を高めることができればリピーターとなり、安定した収入が期待できます。
なお、年商の目安は、エステの場合は3,000万円以上、美容院の場合は2,000万円程度となっています。
⑧健康志向で需要が高まっている【スポーツジム・フィットネス】
スポーツジムやフィットネスなどのスポーツ関連ビジネスも、フランチャイズ経営に向いている業種です。
通常、スポーツジムやフィットネスジムの経営には、多額の設備投資が必要です。しかし、フランチャイズ経営なら、本部からの設備提供によって初期投資を抑えることが可能です。また、知名度が高いジムのフランチャイズなら、ブランド力による集客も期待できます。
新型コロナウイルス感染症の拡大による外出規制などでジムの利用者は一時期と比べて減りましたが、だからこそ体を動かすことの大切さを再認識した人も多いはずです。そのため、健康志向への高まりもあり、将来的にも利用者数の維持・拡大が期待できます。
なお、会員数や規模にもよりますが、年商は1,000万円以上も可能です。
⑨低コスト・少スペースで始められる【中古・リサイクル関連】
中古・リサイクル関連のフランチャイズ経営は、中古品やリサイクル品を安く買い取り、修理して販売するビジネスです。買い取ったモノはフランチャイズ本部が引き取ってくれるため、基本的には保管スペースの必要性や在庫のリスクはありません。
世界的にSDGsが注目を集めている環境下において、モノを大切にしようとする機運が盛り上がっており、中古品の活用にも注目が集まっています。
日本フランチャイズチェーン協会による2021年度の「フランチャイズチェーン統計調査」によると、店舗数は+17.6%、売上高は+12.8%といずれも大きく伸びており、今後も一定の需要が見込まれます。
なお、1店舗あたりの年商の目安は、7,000万円~8,000万円程度です。
⑩カーシェアビジネスで需要を見込める【駐車場】
コインパーキングやカーシェアなどの駐車場ビジネスも、フランチャイズ経営におすすめの業種です。昨今では「自動車は保有するものではなく借りるもの」という風潮が高まっており、従来のレンタカーだけでなく、カーシェリングの需要も増えています。
カーシェアリングは1台につき1台分の駐車スペースが必要となるため、カーシェアリングが増えれば駐車場(コインパーキング)の需要も見込めます。
駐車場ビジネスは、土地さえ用意できれば資格も必要なく、比較的簡単に始められるフランチャイズです。
なお、立地次第ですが、コインパーキングの年商の目安は、10台で1,200万円程度。カーシェアの年商の目安は、1台あたり100万円程度、10台だと1,000万円程度とされています。
5. フランチャイズ経営の始め方
フランチャイズ経営は、以下の5つのステップで始めることができます。
■フランチャイズ経営を始める流れ
- 業界を選ぶ
- 加盟するフランチャイズチェーンを決める
- 本部とフランチャイズ契約を締結する
- 開業準備をする
- 事業開始
順番に補足します。
STEP1:フランチャイズの業界を選定する
フランチャイズ経営には、様々な業種があります。それぞれの業界の特徴やメリット・デメリットなどを踏まえて、自社に向いている業界を選定しましょう。
STEP2:加盟するフランチャイズチェーンを決める
フランチャイズの業界が決まっても、その業界には様々なフランチャイズチェーンがあります。
複数のフランチャイズチェーンの説明会に参加し、特徴やメリット・デメリットなどをしっかり把握して、どのフランチャイズチェーンに加盟するかを決めましょう。
STEP3:フランランチャイズ本部とフランチャイズ契約を締結する
加盟するフランチャイズチェーンを決めたら、フランチャイズ本部と契約を結びます。契約を締結する前に何度も確認して、疑問はすべて解消しておきましょう。
STEP4:開業準備を進める
フランチャイズ本部との契約が完了したら、フランチャイズ本部の指導を受けながら開業の準備を進めます。フランチャイズ契約の内容によっては、自分で店舗を見つける必要が場合もあります。
また、従業員を雇用するかどうかで税務署に提出する書類も異なるため、事前に確認しておきましょう。
STEP5:事業を開始する
開業準備が完了すれば、いよいよ事業開始です。
6. フランチャイズ経営を成功させる3つコツ
最後に、フランチャイズ経営を成功させるポイントを3つに絞って紹介します。こうすれば必ず上手くいくという鉄則はありませんが、成功する確率を上げることはできるので、次の3つをヒントにしてください。
■フランチャイズ経営の3つのコツ
- 社会や状況の変化に柔軟に対応する
- フランチャイズ本部と良好な関係を築く
- 開業後も健全に運営できる体制をつくる
それぞれ解説します。
ポイント①:社会や状況の変化に柔軟に対応する
フランチャイズ経営を成功させるためには、社会や状況の変化に柔軟に対応する必要があります。場合によっては、本部よりも現場に近い加盟店のほうが顧客や社会の変化をいち早く感じ取れることがあります。
そのため、本部の経営方針が時代に合っていないと感じた場合には、現場で感じていることを本部に意見することもときには必要です。
ポイント②:フランチャイズ本部と良好な関係を築く
フランチャイズを成功させるコツは、本部と良好な関係を構築することです。本部の経営ノウハウや経営スキルをしっかり吸収し、アドバイスを遵守して事業を運営しましょう。
そして、事業が軌道に乗ったら、本部の経営方針の範囲内で自社の独自性を出しながら、困ったときは本部と適宜相談するといった良好な関係性を構築することが望ましいです。
ポイント③:開業後も健全に運営できる体制をつくる
開業後も健全に運営ができる体制を構築することも、フランチャイズ経営を成功させるコツの1つです。
担当者が変わっても事業や店舗の運営に支障が出ないように、業務マニュアルを整備したり、リーダー人材を採用・育成したりして、事業を継続できるように努めましょう。
7. よくある質問
最後に、フランチャイズ経営に関するよくある質問に回答します。
Q1. 一番儲かるフランチャイズの業種は何ですか?
同じ業種のなかでも様々な業態があるうえ、立地や外部環境にも左右されるため、一概にどの業種が最も儲かると言うことはできません。
Q2. フランチャイズでおすすめの業種は何ですか?
フランチャイズの業種は、本業との関係や将来性などを考慮して検討する必要があります。詳しくは、『フランチャイズおすすめ業種15選…人気のFCも紹介【新規事業投資向け】』で解説しているので、参考にしてください。
Q3. フランチャイズオーナーの募集はどこで探せますか?
『アントレ』『フランチャイズ比較.net』『フランチャイズの窓口』などのFC比較サイトを使えば、効率よく情報収集ができます。
8. まとめ
企業がフランチャイズ経営への参入を検討する場合は、メリットとデメリットをしっかり把握して判断することが大切です。
参入する業種によっては、ロイヤリティや参入のハードルが異なります。フランチャイズ本部の事業説明会などを積極的に活用して、自社に向いているフランチャイズ事業を見つけましょう。