ダイナースクラブ ビジネスカードは独自性のあるサービスを提供していますが、そのなかでも注目されるのが、2021年12月からスタートした「ビジネスコンサルティングサービス」です。事業承継やIPO、不動産など、経営者、役員、個人事業主などの会員が共通して抱える悩みに解決策を提供します。三井住友信託銀行グループだからこそ提供できるサービスです。その実際のサービス内容を、三井住友信託銀行プライベートバンキング企画推進部審議役の山口和之氏とダイナースクラブ ビジネスカードを発行する三井住友トラストクラブ株式会社経営統括本部経営戦略部業務開発チーム担当部長の竹光慶一氏の対談を通してご紹介します。

信託銀行の知見をフル活用したソリューションを提供

竹光 ここ数年、ビジネスカードの有効性を各クレジットカード会社が訴求しているなか、三井住友トラストクラブは2021年12月、ダイナースクラブ ビジネスカードの商品改定を行い、新たなサービスの提供を始めました。その一つである「ビジネスコンサルティングサービス」は、三井住友信託銀行グループの当社だからこそできる、三井住友信託銀行のノウハウを活かした、お客様が共通して抱えておられる悩みを解決するためのサービスです。

 

ビジネスオーナーの皆様にご好評いただいている「ビジネスコンサルティングサービス」は、自社に関するさまざまなお悩み、事業承継、M&A、IPO、不動産など、お客様のご相談内容に応じて、そのご相談窓口として三井住友信託銀行および三井住友トラスト・グループ各社をご紹介します。

 

「お客様に寄り添う」というコンセプトを基本とした、他のクレジットカード会社ではあまり見ないサービスを提供できるものと考えています。そこで、本日は三井住友信託銀行のプライベートバンキング企画推進部の山口和之審議役をお迎えして、実際にお客様の悩みにどのようにお応えいただいているかを探っていきたいと思います。

 

ダイナースクラブ会員のお客様から、事業承継やM&A、IPOなどに関するご相談を受ける機会が増えています。三井住友信託銀行に取り次ぎさせていただいた際に、実際にどのようなご相談に対してどのようにお答えいただいているか、その辺りをお聞かせください。

 

 

山口 事業承継は、シニア層の方が中心になりますが、長年築いてきたビジネスを子どもに継がせるか、第三者に引き継いでもらうか、廃業するかというパターンがあります。誰かに引き継いでもらいビジネスを継続させたいと考えるのは、社会的な使命としてビジネスを世の中に残すという責任感を感じているからです。

 

従業員の雇用を守り、従業員の後ろにいる家族の生活を守る。親が働いていた会社がなくなってしまい、子どもが学校に行けないとなると社会的な損失になります。企業経営者は会社に貯まったお金を清算として受け取れば済む話かもしれませんが、別の視点に立てば社会的な損失が発生します。この点を企業経営者は常に考えています。

 

IPOに関しては、事業を大きくすると自分だけでは会社を全部見ることができないという限界が訪れます。そうした段階で分業や組織作り、内部体制の整備が課題になります。その延長線上に株式を公開して、社会とともに歩んでいくと意思表示する機会があります。これがIPO(Initial Public Offering)で、IPOを行う際には3つのプロフェッショナルに相談しなければならないといわれます。

 

一つ目が監査法人、二つ目が主幹事証券、三つ目は我々信託銀行が行う名義書換代理人です。株主の管理に始まり、株式にまつわるさまざまなコンサルテーションを行うのが信託銀行の領域です。これまで培ってきたノウハウや経験を活かして、IPOを目指す経営者に対しビジネスパートナーとしてさまざまなお手伝いをすることができます。

不動産を活用した資産運用と相続対策

竹光 不動産についてはいかがでしょうか。

 

山口 不動産は、上場してキャッシュリッチの企業経営者や首都圏の地主さん、開業医にとって主要な投資対象として挙げられます。信託銀行はもともと地主さんとの取引が多く、不動産業務の宅建免許を持っています。不動産に関するノウハウと信頼度の高さについては自負しており、資産形成の手段の一つとして不動産に関してお役に立つことができます。

 

ダイナースクラブの紹介で私が担当しているお客様は、実際に上場している、まだ若くスピードのあるベンチャー企業の役員の方でストックオプションを付与されています。1~2年後にストックオプションを行使でき、そのときには5億円ほどキャッシュが入る予定で、その後自分はどう資産運用すればよいかというご相談でした。

 

山口和之 三井住友信託銀行株式会社 プライベートバンキング企画推進部 審議役
山口和之 三井住友信託銀行株式会社 プライベートバンキング企画推進部 審議役

 

税金対策、資産管理会社を作るかどうか、不動産を入れるかなど、検討項目は多岐にわたります。我々はワンストップでお客様の悩みや不安点を解消して、納得いただいた上で実行に移していただきます。我々は、その結果としてビジネスができればいいというスタンスです。

 

地価の高い首都圏の地主さんの場合は、相続の際に納税資金不足に陥るケースが少なくありません。そうなると納税資金は土地を売って手当てする必要がありますが、売却するにしてもどこを売るかというポートフォリオの話になります。不動産に詳しくない人は売りやすいものを売ろうという発想になりがちですが、逆に売りにくいものを片付ける、あるいは抱き合わせにするなど、我々には地主さんの資産全体のポートフォリオをにらんだコンサルテーションを行うノウハウがあります。

 

もう1つは、資産運用、財産評価対策としての不動産の有効活用です。1億円が現金ならそのまま相続税がかかり半分ほど納税しなければなりませんが、不動産投資を行うことにより財産評価上有効となる場合があります。キャッシュリッチの富裕層の資産運用のお手伝いについて、信託銀行にはどういう不動産を持てば資産価値が下落しないか、毀損しないかという知見があります。

ダイナースクラブの会員はビジネス感度が高い

竹光 お話を伺っていますと、たとえば、IPOであれば証券代行という専門の部署を持ち、不動産に関しても直接取り扱えるなど、ワンストップでお客様のニーズにお応えいただけ信託銀行ならではの強みが生かされていると感じました。ダイナースクラブは現役世代の方に多くご契約いただいていますが、そういった世代のお客様のご紹介にもお応えいただけるわけですね。

 

山口 そうですね。IPOに関してはダイナースクラブのお客様である企業経営者と話をし、上場準備をする中で内部管理をしっかりしていく必要があることをお伝えします。最終的に監査法人のお墨付きをもらう必要があり、部署を作り専門人材を雇用するなど、間接部門のコストもかなりかかります。

 

この説明を聞かれたお客様は「自分は会社を大きくしたい。そこで社会貢献をしたいし、ビジネスをしたい。上場の有無にかかわらず、会社が大きくなる過程で必要な手当だと思っています」とおっしゃいました。ビジネスを理解されている方で、ダイナースクラブの会員の方には、このようなビジネス感度の高い経営者が多いと気づかせてもらいました。我々もそのような方々のお手伝いをするため、ビジネス感度を上げていかなければなりません。

 

竹光慶一 三井住友トラストクラブ株式会社 経営統括本部 経営戦略部 業務開発チーム 担当部長
竹光慶一 三井住友トラストクラブ株式会社 経営統括本部 経営戦略部 業務開発チーム 担当部長

 

竹光 先日、ダイナースクラブの会員の皆様に三井住友信託銀行で開催されている事業承継セミナーのご案内をしました。興味深いと感じられたお客様が銀行の方と直接接点を持った結果、不動産事業の売却が実現し、「三井住友トラストクラブを通じて、経験豊富な三井住友信託銀行の専門部署の方に直接相談ができ、最終的には自分が希望する価格で売却することができた。他のクレジットカード会社ではできないし、ダイナースクラブならではですね」と喜んでいただけました。

 

さらにそのお客様から、「売却資金についても三井住友信託銀行に任せたい、自分自身の将来的な相続についても信託銀行にいろいろと相談していきたい」とのお言葉をいただきました。三井住友信託銀行グループとして、我々三井住友トラストクラブも一緒になってお客様へのソリューションを提供できたことで、CS(お客様満足度)の向上にもつなげることができました。グループとしての力を活かした連携を、今後もより強化していきたいと考えています。

 

山口 そのお客様はダイナースクラブへの期待感をお持ちいただき、これまでパートナーとしてご利用いただいてきたのだと思います。我々は日本で一番古い信託銀行として、2024年に100周年を迎えます。この中で多くのお客様のお手伝いをしてきましたが、ダイナースクラブへの期待感を持ったお客様のニーズをしっかり受け止め、お役に立ちたいとの思いを新たにしています。

徹底したヒアリングでお客様の頭を整理してもらう

竹光 三井住友信託銀行のお客様は幅広く、若い世代の方からご年配の方までいらっしゃると思います。特に資産運用の部門については60~80代の方が多いと伺っています。一方、ダイナースクラブのお客様については主に30代から60代まで幅広い年齢層にわたっています。本日お話を伺っていますと、メインとするお客様の年齢層は多少違っても、幅広い年齢層のお客様からの事業承継、IPOに関するご相談も丁寧にじっくり話を進めていただいていることがよくわかりました。

 

山口 たとえば、事業承継の相談時には、最初に今後事業をどのように継続するのかと質問します。家族構成を確認して身内の承継が困難なら、従業員へと話は移ります。「誰に継がせたい」という言葉はよくお聞きしますが、会社の株式をどうやって移すかが問題です。事業が継続できる会社は税務上の株価がそれなりの価格になり、資産が他人に動く時には必ずコストがかかるからです。贈与であれば贈与を受けた側は贈与税を負担し、売買であれば買い手に購入資金が必要です。従業員を後継者にと考えても、株をもらっても贈与税を支払うことができません。株を移せないために従業員への事業承継がうまくいかないケースが多いのです。

 

残るは第三者に譲渡するのか、廃業するのかということになります。廃業する場合は、経営者は会社に貯まった資産を資金化しますが、長年尽くしてくれた従業員と家族の方々を考えると、中小企業の社長は自分だけ勝ち逃げすることを潔しとしません。このように話を進めていくと、最終的に誰か引受先があったらM&Aを検討したいという話になります。

 

我々は徹底してヒアリングし、会話をすることでお客様の頭の中を整理していきます。この整理というプロセスを会話を通して実現する。これが我々のコンサルテーションのやり方の一つです。経営者は孤独だと言われますが、ダイナースクラブ会員の皆様にはさらなる付加価値がご提供できると強く確信しています。

 

 

竹光 ダイナースクラブの会員様は富裕層が多く、資産運用についての相談を数多く頂戴します。たとえば、予算3億円で不動産物件を探してほしいというお客様もいらっしゃいます。

 

山口 3億円の不動産を買いたいという漠然としたご相談を受けた場合は、まずその背景をお聞きします。背景を理解することが、個人のコンサルテーションを行う際には大切だからです。購入資金はあるのか、あるのならなぜ3億円持っているのかをお聞きします。会社を売却して、いま仕事をしていない方には、今後の人生でどのようにステップアップしていきたいかという話を聞く必要があります。そこを確認しないと、それに見合った不動産投資なのかどうかが検証できないからです。漠然としたご相談はかなり多く、相談する中でしっかりと頭の整理をしていただくことが個人のコンサルテーションの役割です。

 

竹光 三井住友信託銀行は幅広い業務を取り扱っているからこそ、より深い観点でお客様の話をヒアリングされ、お客様に寄り添った真のコンサルテーションをダイナースクラブの会員様に対してご提案いただける銀行であると改めて実感しました。これは他のクレジットカード会社にはないダイナースクラブならではの強みだと思いました。本日は大変ありがとうございました。

 

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