コロナ禍にもかかわらず、別荘・リゾート市場が活性化しています。ここ数年、中古物件を中心に問い合わせが相次ぎ、成約率も高まっています。避暑地から避難地へ──。在宅勤務やテレワークが急速に進み、ネット環境さえあればどこにいても仕事ができるようになりました。今回紹介するのは八ヶ岳エリアで50年前から別荘地の開発・分譲を続け、約2200棟、2700人のオーナーから管理を受託する株式会社セラヴィリゾート泉郷が、「賃料収入を得ながら別荘ライフを楽しむ」をコンセプトに開発した『星降る森のレジデンスⅡ』です。コロナ禍を経て、別荘所有&別荘投資はどのように進化しているかレポートします。

東京から2時間、名古屋から3時間の距離

JR「小淵沢」駅で特急「あずさ」を降りると、ホームに流れる空気の爽やかさに誰もが声を上げる。東京から2時間弱だがここはもう別荘地。『星降る森のレジデンスⅡ』は標高1000m、夏の平均気温が22度の避暑地なのだ。不動産営業部の庄司暁典さんに案内してもらった。

 

「都心から2時間、名古屋から3時間。週末ごとに気軽に通える距離ですが、都心と比べると圧倒的に過ごしやすい。夏はもちろん冬もおすすめです。タイヤはスタッドレスに替えますが、雪はほとんど積もりません。渋滞もなく空気が澄んで、甲斐駒ヶ岳や北岳がクリアに見えます」

 

八ヶ岳南麓に向けクルマを走らせると、15分ほどで広大な別荘地エリアに行き着く。ここが、株式会社セラヴィリゾート泉郷が管理・運営する「ネオオリエンタルリゾート八ヶ岳高原」だ。

 

「面積約30万坪、東京ドーム21個分の広大な敷地に約1100以上のコテージがあります。当社が47年前から開発・分譲してきたもので、エリア内にはホテル、温泉、レストラン、バーベキュー専用の施設もあり、全体が一つの街を形成しています。域内のコテージのうち約200強は貸別荘として運用し、一般客が宿泊できる施設となっています」

 

 

『星降る森のレジデンスⅡ(全8棟)』はそうした別荘地の一角にある。既存のコテージや別荘とは明らかにコンセプトが異なることは、そのモダンな外観から一目で分かる。

 

「外観は平屋のノルディックスタイルを採用し、内装はカラーにもこだわりました。南アルプスの山々が展望できるよう大きなインナーテラスをつくり、冬は零度前後になるため、玄関のタイル部分とシャワーブース以外はすべて床暖房にしました。また、露天風呂には遠赤外線効果のある信楽焼を採用、リビングには外見は薪ストーブに見える石油ファンヒーターを設置しました」

 

そこには新たな需要への対応、コロナ後の別荘・リゾートの役割変化に対する一つの答えが含まれている。

 

「別荘という感覚は、今の人にはたぶんないと思います。2つ目のマイホームと言いましょうか。昔は避暑を中心とした使い方で、冬は使わない人が多かったけれど、今の人は毎週のように来ます。自宅は東京にあって、こっちで仕事をして、また東京に戻っての2拠点生活をする人が、コロナ以降増えました。土に触れたいからと農作物栽培を楽しむ人もいます。ターゲットは40代から 60代の現役世代。リゾートライフの変化に対応した物件を提案してみました」

 

利回り4.93%。賃貸収入を得る別荘ライフ

「星降る森のレジデンス」シリーズの最大の特徴は、オーナーに、ホテルとも、リゾート会員権とも、個人別荘とも違う、新しい時代の別荘所有方法を提案していること。簡単にいえば“賃貸収入を得ながら別荘ライフを楽しむ”ための仕組みで、それをReVOS(レヴォス/Rental Villa Ownership System)という。

 

「せっかく購入いただいても、別荘を利用するのは年間平均35~50日程度です。使わないときは人に貸したほうがダンゼン合理的です。そこで、オーナーに当社と賃貸借契約を結んでいただき、オーナーの所有別荘を宿泊棟(客室)として一般客に提供します。その見返りとしてオーナーが賃料を得たり、さまざまな所有負担を軽減することができます」

 

ReVOSを利用すると、実際どれだけの賃料がもらえ、どれほどのランニングコスト節約につながるのか。庄司さんが説明する。

 

「星降る森のレジデンスの価格は2900万円です。例えば、完全な投資目的で購入し、オーナー自身が利用しない場合は、10通りの契約コースのⅠ(一括転貸)となり、年間最大賃料143万円(表面利回り4.93%)の賃料収入です。逆に利用重視で日数にして約250日、ゴールデンウイークやお盆も利用する場合、契約コースのⅩで賃料は71万5000円(同2.46%)となります。しかもReVOSは年間の家賃を保証する固定型なので、客室稼働の有無に関係なくこの金額を手にすることができます」

 

実はこの仕組み、セラヴィリゾート泉郷では以前から「貸別荘システム」として実施していたという。2019年にその内容を見直し、特に投資的な色合いを濃くして今の形となった。

 

「加えて、月々の水道光熱費は当社が負担します。別荘を使わなくても基本料金が発生するのでランニングコストの低減につながります。さらに、投資物件としての魅力をアピールするために買取保証制度をつけました。ですから、契約更新時(5年後)の売却を視野に入れた購入も可能です」

 

掃除や後片付けの手間がかからない

通常の別荘と、セラヴィリゾート泉郷が生み出したReVOSとの違いはどこにあるのか。それを分かりやすくまとめたのが下の表だ。決定的な違いはやはり賃料収入が入ることだが、オーナーの皮膚感覚はちょっと違う。アンケートをとると、つねに評価すべきポイントの第1位を占めるのが維持管理の手間がいらないこと、つまり「掃除をしなくていい」ことだという。ReVOSのオーナーに現地で別荘地管理を担当する白倉裕二部長は言う。

 

 

「掃除、料理、ゴミ出し、ベッドメイキングなど、日々のこととはいえ維持管理の手間はオーナーにとって大変なストレスになります。ReVOSは客室として弊社が清掃・維持修繕を欠かさず行なうため、室内はいつもホテルの快適さを維持しています。周囲の草刈りも、ゴミの回収(別荘のゴミは弊社にて自主回収)、屋根裏にできたスズメバチの巣の駆除もやります。寒冷地に不可欠な洗面所やトイレの水抜き・水出しは言うまでもありません。ですからオーナーも一般客も到着してすぐにくつろげますし、退出時の後片付けもいりません」

 

マンションは維持管理を買えと言われるが、自然と共存する別荘・リゾートの場合はまさに生命線となる。早期に開発された別荘・リゾートの中には利用客が減って閑散とし、売却すら難しくなっているところもあるが、多分にこうした現実的な問題が絡んでいるのだ。フロント棟(ネオオリエンタルリゾート八ヶ岳高原と共有)で宿泊の受付業務を担う勝田聡志支配人は証言する。

 

「閑散期に来てもまわりが明るいので安心とよく言われます。たとえ利用者が1人でも、それ以上のスタッフが常時フロント棟にいて、夜中も電気がついていますし、休館にならない限りは一般の宿泊客もいます。当社の場合は、管理別荘地の中に宿泊事業が入っているというめずらしい形態だからそれができます。別荘で暮らしながら、何かあれば管理センターが24時間対応してくれる安心感、そこがウチの一番の強味ではないでしょうか」

 

ここへきて地方移住、2拠点生活の可能性が見えてきた若い世代からの問い合わせが急増している。今後もセラヴィリゾート泉郷の挑戦は続く。