メディオテック施工例

国内の不動産投資市場が不透明感を増す中、国が定めたFIT(固定価格買取制度)のもと、長期にわたりキャッシュフローを生み出す投資として知られてきた「太陽光発電投資」の安定性が再び注目されている。本企画では、土地の仕入れから運営まで一貫したサービス体制で国内最大級の案件数を取り扱う、株式会社メディオテック営業本部営業二部部長・弓削雄一氏に、「太陽光発電投資」の最新事情等を伺った。前編のテーマは、太陽光発電投資の概要とそのメリットについてである。

不動産投資と比較した「太陽光発電投資のメリット」

太陽光発電事業は、FITにより買取価格が固定されていることが大きな特徴です。FITとは「Feed-in Tariff」の略で、日本語では「固定価格買取制度」と呼ばれます。簡単にいうと、太陽光など再生可能エネルギーで発電された電力について、国が定めた一定の価格(FIT価格・2018年は18円)で、一定期間(20年間)買い取ることを電力会社に義務づけたものです。FIT価格自体は毎年見直されますが、発電装置を持つ投資家と、電力会社とが契約を結んだ後は、20年間その価格が変更されることはありません。

 

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投資家の視点から見れば、太陽光発電投資は、20年間の「売上」がほぼ確定していることになります。もちろん、その年の天候(日照量)によって発電量に変動があるので、実際の売上金額に多少の幅は生じます。しかし、その幅は長期で考えれば過去の天候統計データから予測できる誤差の範囲内に収まります。投資前に計算できる20年間の収益予測シミュレーションの確実性が非常に高く、大きく外れることはほぼ考えられません。この点こそ、他の投資にはない太陽光発電投資の最大のメリットといえます。

 

株式会社メディオテック 営業部営業二部部長 弓削 雄一氏
株式会社メディオテック
営業部営業二部部長
弓削 雄一氏

これは、不動産投資と比較すると分かりやすいかもしれません。例えば、賃貸アパートに投資をした場合、設定できる家賃も入居率も新築時が最高で、築年を重ねるうちに下がるのが普通です。競合の新築物件が周辺に増えていく中で、既存物件が競争力を保つには、賃料の引き下げ、仲介業者への多額の広告費の支払い、あるいは大幅なリフォームやリノベーションの必要があります。いずれにしても、利回りの低下をもたらします。

 

しかも、今後20年間という視点でみれば、東京の都心部でさえ人口減少が避けられず、平均の空室率が上昇することは必至です。つまり、不動産投資で今後長期にわたって安定収益を得ることは、実際には相当難しいというのが現状です。

 

一方、FITで買い取り価格が固定された太陽光発電物件は、いわば「20年間、家賃も入居率もほぼ変わらないアパート」のようなものです。賃貸用不動産とは比較にならないほど、利回りとキャッシュフローが安定しています。さらにこの点が、融資の際にも活きてきます。

 

ちなみに、太陽光発電投資では、投資金額に対する「消費税還付」が受けられます。一方、個人事業での不動産投資では、消費税還付を受けることはほぼ不可能になっています。細かいスキームは省きますが、消費税還付によって投資初期に大きなキャッシュフローが得られることも、太陽光発電投資のメリットのひとつです。

 

[図表]FIT法(固定価格制度)全体の仕組み

 

 

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なぜ太陽光発電投資は「融資が受けやすい」のか?

小型・軽量の高性能パワーコンディショナーKPV
小型・軽量の高性能パワーコンディショナーKPV

弊社で販売している太陽光発電物件(低圧)は、基本的に「土地+発電設備」のセットです。発電設備は主に、発電素子を並べた「太陽光パネル」と、発電された電気をコントロールして電力会社に送る「パワーコンディショナー」という装置からなります。この設備と土地のセットで1800万〜2500万円が標準的な価格です。仮に2200万円の物件だとすると、そのうち土地代は50万円程度になります。実際に投資をする場合、この土地代の50万円だけを、自己資金としてご用意いただき、残りの2150万円は融資でまかなうことが可能です。

 

一般的には現在、太陽光発電物件に対して銀行からの融資を受けることは難しい状況です。そこで、弊社では2社の信販会社と提携し、そのローンを利用してもらうことで、土地代以外の代金(前述の例では2150万円)の融資を可能にしました。融資条件は、15年固定で年利2.2%と、銀行の事業融資に比べても遜色のない内容です(2019年3月現在)。

 

もちろん、融資の際には審査がありますので「絶対に受けられる」と断言できませんが、一般的に想像されるよりは、かなり融資を受けやすいのが実情です。これは、前述したように、FITを背景にした太陽光発電投資が、不動産投資などと比較して、「極めて安定的にキャッシュフローを得られる=低リスクの投資」であることも理由のひとつです。さらに、弊社の場合は、太陽光発電投資業界の中でも最多の3社の信販会社と提携していることから、融資を受けられる可能性がさらに高くなります。

 

弊社のこれまでの実績では、投資経験(借入残高)の無い人なら、年収で500万~600万円程度あれば、基本的に融資を受けられます。すでに不動産投資を行っており、借入残高のある人でも、(残債にもよりますが)不動産融資とは別枠で太陽光発電投資に対する融資を受けている例が多数あります。

 

 

FIT価格が下がっても利回りが変わらない理由

FIT価格は2012年度の制度導入時には、43.2円(10kw以上2000kw未満の場合、以下同)でした。その後毎年度引き下げられ、2018年度には18円となり、そして2019年度には14円になる予定です(年度単位は4月1日~3月31日)。

 

これだけFIT価格が下がれば、想定利回りもかなり下がっているのではないか、という疑問も出てくるでしょう。しかし、実は太陽光発電投資の利回りは、昔も今も約10%前後で、あまり変わっていないのです。現在であれば、2200万円の投資に対して、年間約220万円の売電収入が得られる見込みです。

 

施工例・宮崎県えびの市
施工例・茨城県石岡市

FIT価格が下がっているのに利回りがあまり変わらないという不思議な現象が起きるのは、「初期投資費用も下がっている」ことと、「発電効率が上がっている」ことが理由です。太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの機械設備は、性能が向上する一方で価格が下がっています。また、部材の仕入れや施工をする事業者においても、運営ノウハウ蓄積や規模拡大を通じて、運営コストが低下しています。そのため、初期投資費用の下落と発電効率アップによる売電量の増加が、ちょうどFIT価格の下落と見合う程度になっており、結果として利回りがあまり変わっていないのです。

 

そもそも、再生可能エネルギーによる発電を増やすため、設備の普及によるコストの低下、それによりさらに普及が進む、というサイクルを作ることが国が定めたFIT制度の大きな目的でした。したがって、FIT価格の低下と設備価格、発電コストの低下が同時に進んできたのは、当初の狙い通りであるといえます。

 

とはいえ、太陽光パネルやパワーコンディショナーの性能向上や価格低下もそろそろ頭打ちだといわれています。そのため、いま太陽光発電投資物件を販売している各社は運営効率化によるコスト削減で利回りを維持しようとしていますが、これは会社自体の体力に依存する面が大きいので、事業から撤退したり、中には倒産する業者も出ています。

 

おそらく、FIT価格14円になる2019年度以降、太陽光発電投資業者の淘汰がさらに進むのではないでしょうか。そのため、太陽光発電投資を検討する際には、物件そのものに加えて、販売業者の企業規模や信頼性などについても慎重に確認するべきでしょう。

 

 

取材・文/椎原よしき 撮影/永井浩(人物)
※本インタビューは、2019年3月14日に収録したものです。