社内メールの一言メッセージが書籍に・・・その経緯とは?

今回は、社内メールに添えていた「一言メッセージ」が一冊の本になった代表取締役会長の事例をインタビュー形式で紹介します。※本連載では、毎回ひとつの事例をあげ、今なぜ社長作家が激増しているのか、そして、本を出すことでどんなドラマが生まれるのかを探っていきます。

「社会は自分自身を映す鏡だ」ということを伝えたい

島至氏は株式会社エスピック代表取締役社長である。なぜ多忙な業務の傍らで筆をとり続けてきたのか。著書『窓ガラスが鏡に変わるとき』を執筆された経緯を聞いてみた。

 

――出版をされたきっかけや目的は何ですか?

 

初めは役員会などの報告や連絡を、社長から全社員に社内メールとして送っていたのですが、何か面白くないなと思って、最後に「一言メッセージ」という形で、自分の想いなどを書いて送るようにしました。それが社員に好評だったのです。

 

ホームページに載せると、今度は学生や主婦の方など、一般の人から「感動した」とか「本は出ていないのか」と返信が来るようになり、それでは今まで書いたものをまとめて本にしようと、自費出版しました。

 

熱烈なファンの方もいて、ある社長は1000冊も買ってくれて、知人に配ったりしたそうです。その本がきっかけで、今回幻冬舎さんからの出版に繋がりました。

 

――出版前後で何か変化はありましたか?

 

自費出版した本も評判が良かったのですが、読者から書店で買えないのかと問い合わせも多く、「出版社から出せればいいな」という気持ちは前からありました。今回幻冬舎ルネッサンス新社さんからお話があったので、「是非お願いします」ということになりました。出版にあたって、各章にエッセイも入れて、ということになり、自分の想いのこもった素敵な本になったなと、とても嬉しい気持ちです。

 

友人の小学生の子供の夏休みの読書感想文が「窓ガラスが鏡に変わるとき」と聞いた時、嬉しい気持ちになりました。自分が亡くなっても本は残りますからね。孫たちが大きくなってから僕の本を読んで、おじいちゃんはこんなことを考えていたのかと、想像すると楽しくなりますね。

 

 

――出版社や編集者とのやり取りで印象深かったことはありますか?

 

表紙はシベリア鉄道経由で辿り着いた最初の街、フィンランドのヘルシンキにあるヘルシンキ大聖堂の12使徒の一人です。裏表紙の帯を取るとそれを見つめている僕のプロフィールがあります。帯はシベリア鉄道の地図です。表紙を取ると本の題名が表と裏で鏡に映したように逆転しています。

 

編集に関わった皆さんの想いが込められた本になったなと思います。挿絵もさりげなく入っていて、文章の情感を高めてくれています。エッセイを各章に入れてくださいと言われて、書いてみると、詩集でもなく、僕の価値観や想いを本全体で貫いて表現できたと思います。楽しかったです。ありがとうございます。

 

――原稿に散りばめたこだわりや制作秘話など、ご著書の紹介をお願いします。

 

旅先の列車で、窓ガラスが鏡に変わる時に感じた「社会は自分自身を映す鏡なんだ」という想い。鏡に映った自分自身の髪の乱れを直すには、鏡の中の髪をいじっても直らない。自分自身の髪を直すと、鏡の中の乱れも直る。自分が笑顔になると、鏡に映る社会も明るくなる。

 

そんな想いを持ちながら生きていくことに拠って、愛すること、生きること、想うこと、などにいろいろな気づきが生まれてきました。外の世界と内の世界との繋がりを感じて、それが最後のエピローグで「自分とは何か」という結びに繋がったと思います。

 

 

島至 著

『窓ガラスが鏡に変わるとき』

 

 

「自分」とは何か――。
この1冊を読めば、「生きる」ことに対する視点が変わる。

大学2年生、僕は旅に出た。到着早々、見ず知らずの土地で味わった挫折。
どこに向かうでもなく飛び乗った列車内で発見したこと――
それは、「今見えている世界は自分を映し出したものである」ということだった。
自身の意識が変われば周囲の世界も変わる。
「愛する」こと、
「生きる」こと、
「想う」こと、
「気づく」こと、
それぞれのテーマから見つめ直すと、新たな自分が見えてくる。
人生における発見から生まれた、珠玉の詩・エッセイ集。

 

幻冬舎ルネッサンス新社 代表取締役社長

企画編集室・室長を経て現職。代表取締役となった現在も、毎月10冊以上の書籍編集に携わる。手がけるジャンルはノウハウ書、旅行記、写真集、絵本など幅広いが、特に得意としているのは小説と自叙伝。著者の出版目的を満たすことを重要視し、書き手と細かく議論を重ねる編集スタイルが特徴。これまで多数の重版実績を持つ。

著者紹介

連載いま激増する「社長作家」――その実像を探る