今回は、「共同ビルの敷地」等の評価単位について見ていきます。※本連載は、税理士・小寺新一氏、不動産鑑定士・税理士・吉村一成氏の共著、『改訂版 税務署を納得させる不動産評価の実践手法』(実務出版)の中から一部を抜粋し、土地の評価でポイントとなる「地目」と「評価単位」について解説します。

全体を1画地の宅地とし、各土地の価額の比を乗じる

(7)「共同ビルの敷地」の評価単位

 

例えば、図表1のように甲、乙、丙及び丁の共同ビルの敷地の用に供されている宅地は、A、B、C及びDの土地全体を1画地の宅地として評価した価額に各土地の価額の比を乗じた金額により評価します。

 

[図表1]

 

この場合の「価額の比」は、次の算式により、あるいは1画地の宅地として評価した価額に基づき、各土地の地積の割合により価額を算出しても差し支えありません。

 

(算式)

価額の比=各地ごとに財産評価基本通達により評価した価額÷各土地ごとに財産評価基本通達により評価した価額の合計額

 

(注) 共同ビルの敷地の借地関係については、所得税基本通達33−15の2《共同建築の場合の借地権の設定》、又は法人税基本通達13−1−6《共同ビルの建築の場合》の適用があることに留意してください。

所有する土地のみを1画地の宅地として評価

(8)「使用貸借により貸し付けている宅地」の評価単位

 

所有する宅地の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により貸し付けている場合には、その全体を1画地の宅地として評価します。また、自己の所有する宅地に隣接する宅地を使用貸借により借り受け、自己の所有する宅地と一体として利用している場合であっても、所有する土地のみを1画地の宅地として評価します。

 

例えば、図表2の(1)のように、所有する宅地の一部を自己が使用し、他の部分を使用貸借により貸し付けている場合には、これら全体を1画地の宅地として評価します。

 

また、図表2の(2)のように、使用貸借で借り受けた宅地を自己の所有する宅地と一体として利用している場合であっても、甲は、B土地に客観的な交換価値がある権利を有しないことから、A土地、B土地をそれぞれ1画地の宅地として評価します。

 

なお、使用貸借に係る使用借権の価額は、零として取り扱い、使用貸借により貸し付けている宅地の価額は自用地価額で評価しますので、B土地はいずれも自用の土地として評価することに留意してください。(財産評価基本通達7−2、昭和48年11月1日付直資2−189「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」)

 

[図表2]

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