事業用不動産の「名義」が事業承継で問題となる理由

前回は、自社株相続の際、ほかの相続人から「遺留分減殺請求」を受けるリスクを減らす方法を解説しました。今回は、事業承継で問題となり得る事業用不動産の「名義」について見ていきます。

会社所有の不動産なら、基本的に相続問題は発生しない

事務所、工場等の建物やその敷地などの事業用不動産は、自社株と同様に事業承継の際に相続トラブルが生じる可能性があるので注意を要します。まずは事業に使われている不動産の所有者が会社なのか、それとも経営者(事業承継前の社長)なのかを確認しましょう。

 

会社所有であれば、基本的に不動産自体に関しては相続の問題は発生しません。不動産の価値は株式に形を変えているため、自社株の問題になります。

経営者所有だと、相続時に共有状態になるなどリスクも

一方、経営者(前社長)が所有している場合には、そのままにしておくと相続でもめた場合など、他の相続人と共有する状態になるリスクがあります。共有状態にある不動産は、管理・処分を行う際に共有者(相続人)の同意が必要となるので、「工場を移転したい」「不動産を売却したい」などの意思決定に支障が生じるおそれがあります。

 

したがって、経営者が不動産を所有している場合は、事前に会社の資産にしておくことが望ましい選択肢です。具体的な手段としては、「会社に売却する」「現物出資する(不動産のまま会社に出資する)」などがあります。

 

あるいは、別に資産管理会社を作り、そちらに不動産を移して管理・運用するという方法も考えられます。資産管理会社の経営権を相続の際に事業を承継しない兄弟姉妹に委ねれば、後継者が自社株を相続することへの不満も抑えられるため、相続争いの防止策として効果的です。

本連載は、2016年10月21日刊行の書籍『「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載親族内の事業承継を成功に導く「財産」の引き継ぎ方

株式会社わかば経営会計 代表取締役
公認会計士・税理士・中小企業診断士

1984年、兵庫県神戸市出身。2006年、京都大学経済学部卒業、在学中に公認会計士試験に合格し、大手監査法人・中堅税理士法人での勤務を経て、2013年に大磯経営会計事務所(現「わかば経営会計」)創業。「中小企業の未来を創造する」を経営理念に、事業承継・M&A企業再生といった中小企業向けの財務・経営コンサルティングおよび税務サービスを展開。

著者紹介

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

大磯 毅/中山 昌則

幻冬舎メディアコンサルティング

戦後70年を迎え、多くの中小企業に降りかかっているのが「事業承継」の問題です。 しかし、現社長のなかには景気の低迷、適当な人材の不在などの理由から廃業を考える人が少なくありません。また、社長の息子や親族などの後継…

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