前回は、子どもの「考える力」を伸ばすために必要な「教師の意識改革」について取り上げました。今回は、日本を変え、子どもたちの毎日を楽しくする「考える力」について見ていきます。

すべての入試制度を「思考力を問う」形式に変更すべき

前回の続きです。

 

学校教育に「思考教育」を取り入れるためには、教員養成系の大学で教師を志望する学生たちにも、思考教育のやり方を学ばせる必要があります。だからといって思考教育を実践するためのマニュアルなどはありません。そんなものは不要です。

 

子どもたちに寄り添って、子どもたちと一緒に考える。決して教えず、子どもたちを励ます。

 

そのために心がけていただきたいことが、一つだけあります。それは、しんと静まり返った教室で、子どもたちが黙々と問題に取り組んでいる、このような「教室の空気作り」です。まず教師自身が、考えることの大切さを認識することです。

 

授業中は、子どもたちにも姿勢を正させ、心を考える対象に集中させる。教師は余計なことをしゃべらず、考えることだけに取り組ませる。そんな教室の空気作りは、大学でしっかり身につけさせるべきです。いきなり全国すべての小中学校で取り入れることが難しいなら、まずはモデル校で実践して、ノウハウを蓄えていけばよいと思います。必要なら、我々が持っているノウハウを喜んで提供します。

 

そしてもう一つ提案があります。入試制度を変えるのです。中学入試も高校入試も、問題数が多すぎます。これは考える力を見るための試験ではなく、暗記力を測るための試験です。だから問題数を思い切って大問3〜4題に絞り込み、考える問題を中心に出題する。ただし、じっくり考えなければ解けないような問題です。

 

大学入試を頂点とする入試制度を、すべて思考力を問う形式に変える。そうすれば、まず学校での教育が変わるはずです。当然、受験産業のあり方も変わってくるでしょう。教育関係者はもとより、親の意識も考えることの重要さに向くはずです。入試改革による教育制度改革に手をつけるべきです。

ひとりでも多く「考える力を持つ」子どもの育成を

いずれにしても、悠長に構えている暇はありません。残された時間は、そんなに多くはないのです。一刻も早く思考の授業を取り入れることで、ひとりでも多く「考える力を持つ」子どもを育てなくてはいけません。

 

もし、子どもたちが、考える力を身につけることができれば、どうなるでしょうか。まず、子どもたちの表情が生き生きしてくるはずです。何を見ても、どんなことを聞いても、頭が動き始めるのです。毎日が楽しくて仕方なくなるでしょう。

 

さらに勉強が楽しくなり、しかも楽になる。無理やり詰め込んで暗記するための勉強時間など要らなくなるのです。間違いなく日本が変わります。ただでさえ日本人は勤勉という美徳を持っている民族なのです。それが考える力を身につけたら、まさに鬼に金棒ではないでしょうか。ノーベル賞受賞者数でいずれユダヤ民族を追い越すことも、決して夢ではありません。

 

本書を手にとって、お読みいただいたすべての方が、考える力を身につけられますように。考える力は、何歳からでも、例え高齢になってからでも養うことができます。子どもをお持ちの方は、本書を参考に、大切なお子さんに、ぜひとも考える力をつけてあげていただきたい。心からそう願ってやみません。

東大・京大に合格する 子どもの育て方

東大・京大に合格する 子どもの育て方

江藤 宏

幻冬舎メディアコンサルティング

「うちの子は勉強しているのに成績が上がらない」、「あの子は勉強しているように見えないのにいつも成績がいい」と感じたことはありませんか? 実はわかりやすい授業ほど、子どもの可能性を奪っているとしたら──。 40年に…

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