なぜ「考える力」が子どもの一生の宝ものになるのか?

前回は、東大生が子供のころから身につけている習慣について取り上げました。今回は、「考える力」が子どもにとって一生の宝ものになる理由を見ていきます。

数学オリンピックのために費やした1000時間

2014年7月、第55回国際数学オリンピック南アフリカ大会が開かれました。この大会に日本からは6人の高校生が出場し、4人が金メダル、銀メダルと銅メダルが1人ずつ、国際順位では5位と素晴らしい成績を収めました。

 

金メダル受賞者の一人の勉強ぶりについて、知人から話を聞いたことがあります。そもそも国際数学オリンピックに出場するためには、各都道府県の予選を勝ち抜き、本選に出場し上位25人の枠に入らなければなりません。その25人を対象として7日間の合宿が行われます。合宿では毎日4時間、数学の問題を4日続けて解かなければならないのです。最終の選抜試験で合格したものだけが本選に出場できます。

 

彼は、前回、合宿に参加することはできたものの、代表選手からは漏れてしまいました。来年こそは、何としても国際数学オリンピックに出場したい。そう考えた彼は、次の合宿までの1年間に1000時間、数学の勉強をしようと決意したのです。

 

1年間で1000時間となれば、毎日約3時間勉強しなければなりません。その勉強とは、ひたすら数学の難問を考えることです。元々、数学が好きで、数学の素質がある彼が、一年間ひたすら数学の勉強に励んだ結果が、見事世界大会での金メダル受賞となりました。

 

その彼は、学校の勉強はほとんどしていないそうです。なぜなら、すでに大学受験に必要な勉強はすべて終わっているから。実際、全国模擬試験の結果は、常に上位一桁台に入っています。試験当日によほど何か重大なトラブルでも起こらない限り、東大合格は間違いないでしょう。

考え抜く喜びを知っている人材が日本には必要!?

彼はおそらく『上位1%』枠に入るタイプです。そんな彼でも金メダルを取るためには1000時間の訓練が必要だったのです。

 

では、彼にとって、この1000時間は単なる苦行だったのでしょうか。決してそんなことはないはずです。それが誰かによって作られた問題である限り、必ず解ける。そう思って問題に挑戦することは、自分と出題者との勝負です。勝てば嬉しいのはもちろんのこと、勝つために考えること自体が、何より楽しかったはず。頭を使う、使い切ること、考えて、考えて、考え抜くことの喜びを彼は知っているに違いありません。

 

もちろん、考える訓練をすれば、誰もが数学オリンピックに出られるなどとはいいません。けれども、考える力こそは、一生の宝ものになります。長い人生を生きていく上で、何より必要なのが、自分の頭で考える力です。これからの日本を支える人材にとって、最強の武器となるのが考える力なのです。

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連載わが子を東大・京大へ導く「思考教育」

関西教育企画株式会社 灘学習院  学院長

昭和42年に神戸市灘区に学習塾「灘学習院」を開校。開校以来、思考教育に特化した教育を実践している。自分の頭で考える子どもを育てるため独自の「思考教育」を確立。40年以上に及ぶ指導経験と独自のノウハウを蓄積し、現在は教師の研修指導にあたっている。大手学習塾のように受験を目標とした「詰め込み型」「暗記型」ではなく、考える力自体を伸ばす「思考型」の教育法を実践。

著者紹介

東大・京大に合格する 子どもの育て方

東大・京大に合格する 子どもの育て方

江藤 宏

幻冬舎メディアコンサルティング

「うちの子は勉強しているのに成績が上がらない」、「あの子は勉強しているように見えないのにいつも成績がいい」と感じたことはありませんか? 実はわかりやすい授業ほど、子どもの可能性を奪っているとしたら――。 40年にわ…

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