国税局随一の「情報収集能力」を持っていた資料調査課

今回は、国税局の課税部調査部隊の中核ともいえる、資料調査課(コメ)の「情報収集能力」について見ていきます。※ 本連載では、元国税実査官・佐藤弘幸氏の著書『国税局資料調査課』(扶桑社)の中から一部を抜粋し、一般的に知られることがないその「国税局資料調査課」の仕事の実態を紹介します。

日本最大の実取引に関するデータベースを保有

国税局のいちばんの武器は、なんといってもその情報量だ。実取引に関するデータとしては、おそらく日本最大ではないだろうか。企業に入り込んで財務情報を入手することもあるので、信憑性の高い情報を有する。これが民間のシンクタンクとは違う点だ。データベースには企業の本当の姿が反映されている。何十年もかけて蓄積してきた結果だ。

 

その情報収集能力の最も高かったセクションが、課税部にある資料調査課、すなわち「コメ」だ。

 

資料調査課は、昭和39年7月、直税部に設置された伝統ある組織である。その後、さまざまな変遷を経て、現在のような組織になった。

 

国税に関するさまざまな資料を集めるには、それなりのメソッドがある。どうやって効率的、かつ有益な資料を集めるかが肝になる。それらを蓄積し分析して実地調査、すなわち追徴に追い込むための調査につなげるのだ。そうした目的のもとにコメは設置された。

「コメ」は課税部調査部隊の中核

資料調査課という名称からは、地味で窓際族のような印象を抱くかもしれないが、それは誤解である。実際に、コメの調査を受けた納税者や税理士に聞いてみるといい。

 

コメは課税部調査部隊の中核といっても過言ではない。課税部には一部と二部があり、前者が約150人、後者が約100人を抱える。そのうち実際に調査の現場に出るのは、一部が80人、二部が70人ほどだ。

 

一部は個人を、二部は法人を対象とし、それぞれいくつかの資料調査課が存在する。

 

課税一部を見てみると、同部一課は所得税、二課は譲渡所得、相続税および贈与税、三課は資料情報収集、四課は外国人をターゲットとする。

 

課税二部では、一課は売上高50億円以上の大規模な法人、二課は売上高20億~50億円程度の法人、三課は公益法人と一課が扱う法人の一部をターゲットとする。

 

通称は課税一部一課なら「一の一」、課税二部二課なら「二の二」と略して呼ばれる。

 

冒頭で「情報収集能力の高かった」と過去形で述べたが、機構改革などの変遷を経て、現在は「課税一部・情報担当統括国税実査官」(通称、ジョウホウトウジツ)という部署が最強の情報部隊となっている。〝国税版CIA〟といってもいいだろう、ここもコメから派生した部署である。

 

【図表】

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連載元国税実査官が明かす「国税局資料調査課」の実態

ティ・オー・ビー税理士事務所 代表
税理士 

1967年生まれ。東京国税局課税第一部課税総括課、電子商取引専門調査チーム(現在の統括国税実査官)、統括国税実査官(情報担当)、課税第二部資料調査第二課、同部第三課に勤務。主として大口、悪質、困難、海外、宗教、電子商取引事案の税務調査を担当。退官までの4年間は、大型不正事案の企画・立案に従事した。2011年、東京国税局主査で退官。

著者紹介

国税局資料調査課

国税局資料調査課

佐藤 弘幸

扶桑社

マルサでも手出しできない巨悪脱税事件では、ときに国税OBが裏で糸を引いていることもある。それらを調査する国税局資料調査課、通称「コメ」の真実を初めて明らかにする!

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