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連載「決算書分析」で取引先の支払い能力を見極める方法【第4回】

表面上の数値以外の要素も考慮したい「固定比率」の分析

決算書安全性分析固定比率

表面上の数値以外の要素も考慮したい「固定比率」の分析

前回は、企業の資産の「当座比率」が高いほど安心である理由について解説しました。今回は、「固定比率」の分析について見ていきます。

固定比率は「100%未満」が理想的

③ 固定比率

(固定資産÷純資産)×100%

 

《ある本に記載されている内容》

固定比率は、固定資産と純資産との比率を計算して、パーセンテージで表したものです。一般的には、100%未満が理想と言われています。

 

固定資産とは、流動資産の対になるもので、換金性があまりなくて、長期間の保有や使用を前提とした資産のことです。たとえば、工場機械、土地、建物、特許権や商標権などの知的資産があてはまります。

 

純資産とは、企業が返済する必要のない資産を指します。資本金や、経営活動によって生まれた剰余金などからなります。

 

つまり固定比率とは、企業が持つ資産のうちに占める、長期保有や使用を前提とした資産の割合を示すものです。固定比率が100%以下ならば、返済の不要な資金でまかなっているので安心ですが、100%を超えると借金で固定資産を購入していることになり、注意が必要になります。

事業継続、拡大のために必要な投資をしているか?

《著者の視点》

理屈としては、自己資金で回収まで時間のかかる資産を購入したほうが安全というのはわかります。

 

ですが、言い方を変えると、自己資金が貯まるまで設備投資ができない会社ということになります。個人でいえば、全額を自己資金で用意できるまで住宅は買わないという感じでしょうか。

 

それでは時代の流れに取り残されて、他社との競争に勝ち残っていけないでしょう。

 

「100%以下だから良い」のではなく、事業継続、拡大のために必要な投資をしているかどうかという観点で評価すべきです。

 

企業の設備投資は、毎年一定額の投資のほかに、耐用年数や償却期間などが関係してくるため、複数年に一度大きな投資をすることが多いはずです。また、新規事業を開始するために設備投資が必要なこともあるでしょう。

 

なので、固定比率の値が高くなる年もあります。

 

固定資産、特に有形固定資産、無形固定資産は経営者の意向がよく出るところです。他の資産と違い、何に新規投資をするのか、現状のままでいくのか、いらなくなったから売却するのかを検討して実行するからです。

 

固定資産の何が増えて何が減っているのかを確認する必要があるでしょう。

 

【図表 固定比率】

本連載は、2016年10月12日刊行の書籍『取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

田中 威明

アロックス株式会社 代表取締役社長

大学卒業後、機械メーカーの営業職を経て、「倒産リスク情報」を販売する企業に入社。商社や金融機関、メーカーの調達部門などを中心に、数多くの企業の与信管理業務やサプライヤ管理業務をサポートする。2013年3月、アロックス株式会社を設立。決算書に基づいた倒産リスク評価を行うソフトウェア「アラーム管理システム」を提供し、「決算書を読めない人の数をゼロにする」ことを目標に、システム開発やセミナー等を行っている

著者紹介

連載「決算書分析」で取引先の支払い能力を見極める方法

取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意

取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意

田中 威明

幻冬舎メディアコンサルティング

分業化、グローバル化が進んでいる現代にあって、自社のみで事業を営むことはできません。取引先の経営状況を正確に把握することは、これからの時代を勝ち残るために必要不可欠です。 しかし、教科書的な決算書分析の手法で、…

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