前回は意外に知られていない不動産仲介業者の「収益源」について取り上げました。今回は、業者が提示する「敷金・礼金・仲介手数料ゼロ」のカラクリについて見ていきます。

無条件退居や期間限定の条件がついている可能性も!?

敷金・礼金・仲介手数料ゼロ――この条件を見ると、「タダで契約ができて、家賃だけ払えばOK」と思えてしまいます。民泊や旅館、ウィークリーマンションなどと見紛うような条件ですが、これにはいくつかの理由が考えられます。

 

①建て替えなどの計画があり、取り壊しまでの間だけ入居できる

半年や1年といった短期契約、または一時貸し、鍵の貸与等、いわゆる短期定期借家契約です。その約束の期限には無条件で退去するとの誓約書等の記入を求められます。物件の所有者が不動産業者なら、仲介手数料ゼロもよくあることです。

 

客付け業者がいる場合は先にお客様からもらう前家賃を手数料(広告費)として支払うことになります。このケースは嘘偽りなく、本当に敷金ゼロ、礼金ゼロ、仲介手数料ゼロです。ただし、無条件退居や期間限定といった条件が付くことになります。

 

②悪質なキャッチコピー

敷金ゼロでも保証金が必要だったり、部屋がリフォームされていない汚れた状態だったり、仲介手数料ゼロの代わりに書類作成料や事務手数料、割高の火災保険加入料、消毒の費用、セキュリティ会社加入料といった名目で請求されたりします。詳しく内容を確認しないと逆に割高になってしまうのです。

 

ただ、空中店舗の不動産屋などはインターネット中心で集客していますので、お客様に来店してもらうのは大変です。そのため、このようなキャッチコピーを乱用している業者も見受けられます。架空の物件やすでに終了した好条件の物件などもそのままWEB上に掲載し続けて集客するのは、違法なことですが、空中店舗では常套手段になっているようです。

※空中店舗:業界用語で2階以上の店舗を指します。1階の路面店より集客は見込めませんが、家賃が安いというメリットがあります。

割高な家賃設定がされたリートの物件

③外資系のリートや大手不動産業者の扱うサブリース(空室期間の家賃保証)物件など

リートの物件は、利回り計算で投資家から資金を募っていますので、そもそも家賃が入らないと約束の利回りになりません。また、サブリースの場合は空室期間の大家さんへの家賃を自分たちが補填しなければならず、持ち出しになってしまうために敷金や礼金等をゼロにしてでも入居してもらうという苦肉の策なのです。

 

投資家に利益を還元するために家賃優先とするため、空室が許されないこれらのケースは、本当に敷金、礼金がゼロです。ただし、一般に敷金ゼロ、礼金ゼロの物件は家賃が割高に設定してありますので注意してください。あわせて、保証会社加入条件も付いていますので保証料が必要です。

本連載は、2016年10月21日刊行の書籍『誰も知らない不動産屋のウラ話』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

誰も知らない不動産屋のウラ話

誰も知らない不動産屋のウラ話

川嶋 謙一

幻冬舎メディアコンサルティング

“ディープタウン新宿"の不動産会社社長が業界のアブナイ裏話を一挙公開! 「学歴ナシ」「若さナシ」「経験ナシ」「金ナシ」でも儲かる仕組み、意外な慣習とは── 2回の自己破産を経験し、ありとあらゆる職業を渡り歩いて…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録