前回までは、開業医の資産形成における7つの視点について説明しました。今回は、「リタイア後」のための資産形成について見ていきます。

資産形成も「時間」を味方に付けた方がうまくいく

これから開業を目指す人、開業医になったばかりの人、安定期に入って拡大成長を目指そうとしている人、そしてそろそろリタイアのための準備を考えている人・・・。それぞれ開業医としてのステージは異なりますが、筆者はできるだけ早い時期に「リタイア後の資産形成をスタートさせる」ことをお勧めしています。

 

資産形成は、開業医の医院経営と似通ったところがあり、たとえば30歳で開業するのと50歳で開業するのでは、内容にもよりますが一般的に早く始めたほうがリスクは軽減されます。

 

30歳で開業された方は設備の再投資は必要になりますが、50歳時には大きな事業借入は終わっています。

 

一方、50歳で開業された方は60歳でもまだ軌道に乗らなかったり、返済が残っているとご自身にキャッシュが残るのはまだ先の話になったり、そのころにはもう体力が付いていかなくなったり・・・、という具合に不安要素が多くなります。

 

また、リスクとリターンは正比例の関係にあるため、資産形成も、時間を味方に付けた方がうまくいく可能性が高くなります。

 

私のところに相談に来る方のなかには、すでに収益用不動産を複数持っている方や、株、投資信託などを使って若いころから上手に資産運用されている方もいらっしゃいます。

 

ところが一方で、国民年金にすら加入されていない方も少なくありません。すでに50歳を超えていらっしゃるような方でも、資産管理はすべて奥様やお母様任せ。そして、その奥様も、ただ銀行に定期預金を作っておく、あるいは郵便局の養老保険に加入しているといった程度で、リタイア後の資金のことはご夫婦揃って何も考えていない、そんな開業医が実は少なくないのです。

理想の実現に必要な資金や期間を「具体的に」設定

そこで「ファイナンシャルゴール」、目標額の設定になるわけですが、目指すゴールは生活スタイル、仕事に対する価値観、やりたいこと、リタイア後の人生設計によって変わってきます。世界一周旅行をしたいという人もいれば、田舎でのんびり暮らしたい、執筆活動に勤しみたい、大学に戻って後進の指導にあたりたいなど多種多様です。

 

その際には、まず自分の将来の夢やリタイア時期を自由に想像し、その理想を実現するために必要な資金や期間などを具体的に設定していきます。

 

このように、大まかな夢からヒントを掴む方法を「ブレインストーミング」と言いますが、こうした過程を踏んで将来のイメージを決めたうえで資産形成への準備を始めることになります。

 

一般企業ではブレインストーミングはアイデアを出し合い、否定的、後ろ向きな発言はしないというルールなどを設けて、主に企画会議で用いられる手法ですが、要するに「やりたいことを言葉に出してみる」ことが大事ということです。そうすることで、自分の本心が見えてくるのもブレインストーミングのメリットのひとつです。

本連載は、2015年8月4日刊行の書籍『開業医のための資産形成術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

開業医のための資産形成術

開業医のための資産形成術

恒吉 雅顕

幻冬舎メディアコンサルティング

かつて開業医は、勤務医より圧倒的に収入が多く、リタイア後の悠々自適な生活を保障されていたことから、将来安泰な職業だと言われていました。しかし今、税制改革による富裕層への増税や、2025年問題へ向けた医療制度改正によ…

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