理想のリタイアに向けた「年代別ファイナンシャルゴール」

前回は、開業医の理想的なリタイアを実現する「3RICH理論」を紹介しました。今回は、理想のリタイアに向けた「年代別ファイナンシャルゴール」とは何かを見ていきます。

4つのステージごとに資産形成の準備を開始

実際に「ファイナンシャルゴールを設定してください」とお願いしても、ほとんどの方はそう簡単には設定できないものです。そもそも開業したばかりの医師に「ゴール」をイメージしていただくのは難しいかもしれませんし、その人の置かれた立場や家族構成などによっても大きく異なってきます。

 

そこで、まずはキャリアを大きく4つのステージに分類し、その時点で特に考えるべきポイントを押さえつつシミュレーションしていきます。現在の自分のステージの状態を見て、その時点で実現できるファイナンシャルゴールをイメージしていくのです。簡単に説明しましょう。

 

●STAGE1 勤務医・開業期(勤務医で開業準備中~開業後5年未満程度)

 

開業前のドクターは開院の準備だけでも手いっぱいになりがちですが、ここでは事業計画と同時にライフプランも立て、ファイナンシャルゴールの設定ができればベストです。事業計画から売上を予測し今後必要となるお金が算出できれば、資産形成の計画も立てやすくなります。

 

開業後は売上が上下するかと思いますが、ある程度具体性のあるファイナンシャルゴールがあれば、あとは軌道修正をしてゴールを目指すのみです。絵に描いた餅と言われそうですが「絵すら描けなければ餅は食べられない」が筆者の持論です。

 

実際、30歳で開業し50歳でリタイアする計画を立てた方は、現在45歳ですでに3億円の資産と年間2000万円の不労収入を形成し、予定より早めにリタイアができる目処が立っています。

 

<ポイント>事業計画とライフプランを同時に立てる

 

●STAGE2 発展期(開業後5年目~)

 

開業した年齢によって異なりますが、だいたい30代〜40代前半というイメージです。一度立ち止まって、これまでの医院経営を振り返ると共に自身のリタイア後の人生、ファイナンシャルゴールについても再検討します。

 

また、周りのブレーン、税理士や会計士などは的確なアドバイスをくれているか、仕入れ業者の価格は適正かなどを見つめ直し、必要であれば改善を図ります。

 

比較的多いのが、開業時に紹介されたままになっているケースです。他院の先生などに相談して比較検討していくことで経営力アップにつながる場合があります。そのうえで、先を見据えたライフプランニングをしていきましょう。

 

<ポイント>事業を振り返り、ライフプランニングを再検討

使えるお金と、今後必要なお金の「すみわけ」が重要

●STAGE3 事業拡大・安定期(開業10年目~)

 

一般に、仕事も収入もピークを迎えるミドル世代です。ご自身の仕事内容について見直し、任せられることは徐々にアウトソーシングしていくと共に、事業から得られる収入とは別の不労収入で個人資産を減らさないよう収入転換を図ることを検討していく時期でもあります。

 

この時期になれば、子供が医院を継ぐのかどうかといった可能性も見えてきます。承継可能であれば「医療法人化」を視野に入れ、法人化した場合のシミュレーションを進めましょう。後継者がふたり以上であれば、分院の開設なども含めた検討の必要があります。

 

さらに、経営環境によっては医院の移設を考える必要があるかもしれません。医院経営では手持ち資金の最大化を目指して無駄を排除、キャッシュフローを改善して、豊かな「ゴール」実現のための資産形成を始めましょう。

 

ここまで来ると、子供の教育費の目処も立ちますし、ライフプラン上で今後必要となる資金(リフォーム費用、マイカーの買い替え、子供の結婚支援など)もある程度予測ができますので、資産形成に使えるお金が明確になります。ここでは、使えるお金と今後必要なお金のすみわけが重要となります。

 

<ポイント>アウトソーシングと収入転換計画、ライフプラン上のお金のすみわけ

 

●STAGE4 承継・リタイア期(開業後20年以上、リタイアを真剣に考える時期)

 

STAGE4の最終地点がファイナンシャルゴールになりますので、この段階ではお金のためには働かず「いつでも好きな時にリタイアできる」という環境作りが必要になります。事業収入から不労収入への収入転換を積極的に図る時期と言っていいでしょう。

 

不労収入の目標額は、その人によって異なりますし、リタイア後どんなライフスタイルを想定するのかによっても大きく変化してきます。

 

この時期は子供が自分の将来像を描いて実践していく段階でもあります。開業医として事業を承継してくれるのかもはっきりしますので、準備をしっかりとしておきましょう。

 

<ポイント>収入転換、事業承継準備

 

これら4つのステージごとに、その時点でやっておきたいこと、すべきことなどが数多くありますが、大切なことはやはりファイナンシャルゴールを早めに決めて、シミュレーションし、何をすべきかを明確にすることです。

 

[図表]ステージでの資産形成のポイント

本連載は、2015年8月4日刊行の書籍『開業医のための資産形成術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

株式会社インベストパートナーズ 執行役員・ゼネラルマネージャー

株式会社インベストメントパートナーズ 執行役員・ゼネラルマネージャー。
1972年福岡県生まれ。2006年に株式会社インベストメントパートナーズ設立メンバーとして参画。これまでに500人以上の個人開業院長、医療法人理事長に事業改善、人生設計をサポート。医院形態、規模、年代、地域性など、集積したデータをもとに実践的資産形成の設定を行う。2014年には公益法人日本医業経営コンサルタント協会認定登録。

著者紹介

連載7つの視点から見る「開業医の資産形成」

開業医のための資産形成術

開業医のための資産形成術

恒吉 雅顕

幻冬舎メディアコンサルティング

かつて開業医は医師のなかでも勤務医より収入が圧倒的に多く、リタイア後の悠々自適な生活が保障されていたことから、将来安泰な職業だと言われてきました。しかし今、税制改革による富裕層への増税や、2025年問題へ向けた医療…

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