成長が期待できる企業は、新興国にも点在
――なるほど。こうしたグローバルで成長する分野に着目すると、大きな成長が期待できる企業がいろいろとありそうです。
穂谷「そうですね。成長分野で欠かせないキーとなる企業は、先進国のみならず新興国にも広く点在しています。むしろ新興国企業を中心とした分野もたくさんあり、たとえば最先端半導体で圧倒的な存在感を持つ台湾セミコンダクター(TSMC)は、その象徴的な企業です。
電気自動車(EV)のサプライチェーンを1つ取っても、代表的なプレイヤーの多くは中国をはじめとした新興国企業で、なかには新興国企業しかない工程すら存在します[図表3]。
以前であれば完成車メーカーは先進国企業が多くを占めていましたが、いまはサプライチェーン全体に新興国企業が広がっており、その分、ビジネス上の交渉力も増しています。
――グローバル規模での成長テーマでは、影響力の強い新興国企業への投資も大切になりそうですね。
穂谷「次世代を意識した産業分野はそれぞれ異なるサイクルで成長していくため、たとえば、ビジネス特許や最先端技術を持つ先進国企業のポートフォリオに新興国企業を加えることで、投資における分散効果の高まりが期待できます。
また新興国は、現地市場の発展という面でも注目できます。たとえば、所得が軒並み伸びている新興国では、eコマース(電子商取引)が著しい成長を遂げています。それでもまだまだ市場は黎明期にあり、1人当たりの利用額でみると、中国と韓国を除く新興国は、先進国の約17分の1程度に過ぎません。
特に、南米は成長が期待されるエリアで、2027年の流通取引総額は約2,000億ドルと、2022年比で倍増する予想です[図表4]。
――5年で倍増とはすごいスピードでの成長ですね。市場をつぶさに見ていけば、高成長が期待できる企業はまだまだありそうです。
穂谷「そうですね。世界株や国別の株価指数に連動する形で投資するだけではなく、世界経済が低成長でも期待が持てる分野やテーマの企業に厳選して投資することが、将来の良好な運用成果につながるのではないでしょうか」
――ありがとうございました。今回のお話からは、イノベーティブな投資機会がグローバルに点在し、インベストメントチェーンを見渡しながら、要となる企業に注目することが大切であることがわかりました。2024年は、成長テーマを考え、厳選した銘柄への株式投資を意識したいですね。
<<<【AB’s Market Tips】#10 グローバルな成長分野に目を向ける>>>
穂谷 栄一郎
アライアンス・バーンスタイン株式会社
運用戦略部/責任投資推進室 シニア・インベストメント・ストラテジスト
注目のセミナー情報
【国内不動産】5月13日(月)開催
銀行からフルローンを引き出す「最新不動産投資戦略」
利回り7%超!「新築アパート投資」セミナー
~キャッシュフローを最大化させるためのポイントも徹底解説
【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意
【事業投資】5月25日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走