(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人は保険が大好きですが、宝くじの愛好家も多いですね。保険は困ったときに頼るもの、一方の宝くじはラッキーな人が大金を手にするものと、まったく別ものに思えますが、実は似ているところも多いのです。今回は、保険と宝くじの本質について考えましょう。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

保険も宝くじも、確率的には「損な取引」

保険は、加入者が払う保険料のほうが加入者が受け取る保険金より多いので、確率的には(期待値としては、ともいいます)損な取引です。宝くじも、買った人が払った代金のほうが当選者が受け取る賞金よりも多いので、確率的には損な取引です。

 

しかし、その確認のために、保険会社や宝くじ発行体のホームページを見る必要はありません。もしも保険料と保険金が同じ金額であれば、保険会社は人件費が払えなくて倒産してしまうはずですし、宝くじについても同様ですから。

 

余談ですが、筆者の好きな言葉に「相手の立場で考えろ」があります。優しい気持ちを持て、というのではありません。保険会社の社長になったつもりで考えると、見えて来るものが結構多い、ということです。

 

「必ず儲かる投資商品を売ってあげます」といわれたら、相手の立場に立って「自分が必ず儲かる商品を持っていたら見知らぬ人に譲ってあげるかな」と考えてみることが詐欺の被害を防ぎます。

 

将棋では、自分の好きな手ではなく対戦相手が最も嫌がる手を打つべきですし、ビジネスでも、ライバルが最も嫌がりそうな手を打つことが、ときとして有効ですから。

だからといって「不合理」とは限らないワケ

宝くじも保険も、確率的には損な取引ですが、不合理であるとは限りません。宝くじは、たかだか数百円出すだけで、当選番号発表日まで「当たったらなにを買おうか?」と、ドキドキ、ワクワクしながら待つことができるのですから、テレビの前で「日本チーム頑張れ」と応援するより合理的かもしれませんよ(笑)。

 

保険は、状況によっては必要です。家族を養っている一家の大黒柱は、生命保険に加入していないと万が一の時に家族が路頭に迷ってしまいますし、自動車を運転するときには、保険に加入していないと、万が一大事故を起こして億円単位の損害賠償を請求される可能性がありますから。

 

もっとも、保険は不要な場合も多いので、慎重な見極めが必要です。たとえば、独身者や夫婦ともに正社員の場合、生命保険は不要です。自分が死んでも(悲しむ人はいるでしょうが)金がなくて路頭に迷う人はいないでしょうから。退職金受領後の元サラリーマン等についても同様ですね。

宝くじ、当たるかも…!→「脳の錯覚」による影響

目の錯覚は有名ですが、脳も錯覚します。たとえば、非常に小さな確率は実際よりも大きく感じられます。宝くじが当たりそうな気がしたり、飛行機が落ちそうな気がしたりするのは、錯覚によるものです。万が一の事故が起きそうな気がするのも錯覚でしょう。

 

その錯覚によって、人々が宝くじを買いたくなったり、保険に加入したくなったりするわけですから、宝くじ発行体や保険会社にとってはありがたいものですね。

 

宝くじを買う人にとっても、錯覚のおかげで当たりそうな気がしてワクワクできるわけですし、保険に加入する人にとっても、錯覚のせいで大いに不安であったものが保険加入によって安心できるようになるわけですから、保険加入のメリットが大きくなるわけです。

「宝くじ」と「保険」の本質は同じもの

じつは、宝くじと保険の本質は同じものなのです。「皆から金を集めて特定の人に大金を渡す」ものだからです。

 

株価暴落保険(プットオプションという名前の金融商品)があります。仕組みは複雑ですが、「プットオプションを買って持っていると、株が暴落しなければなにももらえないが、株が暴落すれば大金がもらえる」と理解してください。

 

もともとは株を持っている人の「株が暴落して大損するのは嫌だから保険に加入したい」という希望に沿って開発された商品なのですが、株を持っていない人がこの商品を買えば、宝くじと同じ効果が得られます。保険と宝くじの本質が同じだ、ということがご理解いただけたでしょうか?

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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