(※写真はイメージです/PIXTA)

生前贈与とは、被相続人が生きている間に家族へ財産を贈与する方法のことです。ですが贈与者が認知症である場合に、生前贈与はできるのでしょうか? 本稿では、生前贈与を行うメリットや、認知症であっても生前贈与が可能となるケース、手続きの方法等について、詳しく解説します。

認知症になった親に生前贈与をしてもらう手続きの流れ

認知症になった後で生前贈与を行う場合は、医師の診断を受けながら、慎重に手続きを進める必要があります。

 

手続きの流れは次の通りです。

 

1.主治医に生前贈与が可能かどうかを相談

 

2.主治医に意思能力の有無を診断してもらう

 

3.意思能力ありと診断を受ける(さらにセカンドオピニオンを受ければ信憑性は高まる)

 

4.生前贈与のため契約書を作成

 

5.生前贈与を実行

 

生前贈与の際は、いろいろな書類を準備します。

 

・医師の診断書

 

・贈与契約書:2通作成し、贈与者・受贈者が1通ずつ保管

 

・印鑑:実印が好ましい

 

・収入印紙:不動産の贈与契約のときに必要、無償の贈与ならば200円分

 

なお、収入印紙が必要な場合、贈与契約書の左上に貼るのが一般的です。

認知症になってしまった後に起こりやすい相続トラブル

遺言書を作成した当時、遺言作成者が認知症を発症した場合、意思能力の有効性が争われ、相続人の間で相続トラブルが発生する可能性もあります。

 

もちろん、相続人全員が遺言の内容に納得しているなら、有効な遺言書として認められ、それに従い遺産を引き継ぎます。


しかし、相続人の一部が有効な遺言と認めない場合、裁判所に「遺言無効確認請求訴訟」を提起し、相続問題が長引いてしまうおそれもあるでしょう。このような事態とならないよう、生前贈与と同様に医師の診断を受け、意思能力ありと診断を受けてから、遺言の作成に移った方が無難です。

 

なお、医師の診断を受けた上で「公正証書遺言」を作成すれば、高い証拠能力を有する遺言となります。

 

公正証書は公務員である公証人が、その権限に基づいて作成する公文書です。そのため、遺言者の意思が直接反映され、遺言作成時に特定の相続人や第三者の意思が反映されるおそれはありません。

認知症患者の生前贈与に関する裁判事例

認知症患者の生前贈与が問題となった判例を2つ取り上げましょう。

生前贈与が認められた判例

認知症を患っていた贈与者(代表取締役)が、受贈者(会社関係者)に数千万円単位の贈与をし、相続人である子が争ったという事案です(東京高等裁判所令和2年9月29日判決)。

 

【判決】

 

贈与者には、贈与前から軽度の脳萎縮が認められたものの、高齢化に伴う緩やかなものと考えられると裁判所は判断しました。

 

そして受贈者へのお金の贈与は、長年自分を支えてくれたことへの感謝であり、贈与者の送金に不自然な点は無く、送金は贈与者の明確な意思に基づくものであると認定します。

 

よって、受贈者への送金は有効な贈与契約の履行としてなされたものである、と判示しました。

 

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