(画像はイメージです/PIXTA)

確定申告のシーズンがやってきました。「会社員だし、自分には関係ない」と思っていても、確定申告をすることで税金が還付されるなど、お得になるケースもあります。どのような方が確定申告が必要になるのか見ていきましょう。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が、さまざまなケースについてわかりやすく解説します。

確定申告とは? 必要な人が放置するとどうなる?

生徒:先生、そろそろ確定申告のシーズンですね。確定申告とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?

 

先生:所得税の確定申告とは「1年間の所得」と「それにかかる税金」を計算し、税務署に提出することです。所得というのは収入ではなく、収入から経費を差し引いた「儲け」のことをいいます。

 

生徒:確定申告をしないと、一体どうなるのでしょうか?

 

先生:確定申告が必要な人が、翌年3月15日という期限内に申告しなかった場合は、ペナルティが発生します。これは、20%無申告加算税、14.6%の延滞税の支払いです。また、青色申告特別控除が65万円から10万円に減額され、2年続くと青色申告が取り消しになります。

 

生徒:厳しい…!

確定申告が必要な人…年度の途中で退職した会社員は要注意!

生徒:私はこれまでずっと会社員なので、確定申告を行ったことがありません…。

 

先生:会社員で年収2,000万円以下、1カ所からしか給与をもらっておらず、副業の所得が年間20万円以下なら、確定申告は必要ありません。会社が年末調整をやってくれますので、それで所得税の計算は完了です。

 

生徒:では、私が副業して20万円を超えて稼いだら、確定申告が必要になるということですね? 投資用のマンションを購入して家賃を稼いだときも必要になりますか?

 

先生:基本的に、一年間の所得金額から、基礎控除48万円などの所得控除を差し引いた金額がプラスになる人は確定申告を行わなければいけません。例えば、フリーランスや自営業などの個人事業主、不動産の家賃収入で所得がある人です。

 

生徒:私は、証券会社で株やFXの取引があります。これも確定申告が必要なのでしょうか?

 

先生:自動的に源泉徴収が行われる特定口座を利用している場合や、NISA口座で投資していた場合、確定申告を行う必要はありません。

 

生徒:退職金をもらったときはどうでしょう?

 

先生:退職金をもらっても、会社が「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば確定申告は必要ありません。また、給料についての注意点ですが、年度の途中で退職して年末調整を行っていない場合は、確定申告を行う必要があります。

確定申告が不要な人…年金受給者は、基本的に不要だが

生徒:私の母は年金収入しかありません。無職の高齢者は確定申告が不要と考えて問題ありませんか?

 

先生:公的年金をもらっている高齢者は、基本的に確定申告をする必要はありません。ただし、年金が400万円より多く、年金以外の所得が20万円を超えた場合には、確定申告が必要になります。

「税金、納め過ぎ!」確定申告は不要だが、したほうがいい人

生徒:「確定申告は不要」とされている人でも、確定申告をしたほうが節税できる場合があると聞きました。どのようなケースでしょうか?

 

先生:それは「余分に税金を納めてしまっているとき」ですね。その場合、確定申告を行えば還付金を受け取ることができます。

 

生徒:税金を余分に納めてしまうのは、どんなときなのでしょうか?

 

先生:例えば、事業で赤字が出ているケースですね。個人事業主やフリーランスは、赤字が出ている場合、払いすぎた税金の還付を受けられることがあるので、確定申告したほうがよいでしょう。青色申告事業者であれば、確定申告を行うことで、事業の赤字を翌年以降3年間繰り越したり、損失額を前年に繰り戻して還付金を受け取ったりすることができるからです。

 

生徒:なるほど…。

 

先生:また、住宅ローンの申込みや幼稚園の申請などを行うには「所得証明書」が必要とされますが、個人事業主やフリーランスの場合、確定申告を行っていないと証明書は発行されません。これらが必要な場合は、確定申告を行うことになります。

 

生徒:先ほども話に出ましたが、会社員が年度の途中で退職した場合、その会社で年末調整を受けることができませんよね。

 

先生:会社員は、毎月の給料から所得税が天引きされますが、毎年1度の年末調整で最終調整して、払いすぎた税金については還付を受けています。年度の途中で退職した場合、最後の年度に関して、会社は年末調整をしてくれません。税金の還付を受けるには、自分で確定申告をする必要があります。

 

生徒:副業のアルバイト収入がある場合はどうでしょうか?

 

先生:その場合も、アルバイト先で源泉徴収が行われているはずですが、税金を取られすぎていることがあるので、確定申告をすることで還付が受けることができるかもしれません。

 

生徒:医療費が10万円を超えた場合も、医療費控除が使えますよね?

 

先生:1年間の医療費が10万円を超えている場合、確定申告を行うことで所得控除を受けることができます。自分のものだけでなく、生計を同一にする家族の医療費も対象となります。

 

生徒:ふるさと納税でも節税できると聞きました。

 

先生:ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄附をすることで、寄附した金額の所得が控除されたうえで、返礼品がもらえる制度です。確定申告が必要となるのですが、会社員で寄附先が5ヵ所以下であれば、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用すればよいでしょう。

 

 

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

 

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