起業を志す人に大切な3つの基本原則
その後の15年間で、私はこのプロセスを改良し続け、ブラウン大学をはじめ、世界中の何千人もの学生たちに教えてきた。この構造化されたプロセスには、起業を志すすべての人が習得し応用できる、3つの基本原則がある。
2.解決:価値提案(バリュー・プロポジション)を決定する。反復的なプロセスを通じて、小規模な問題解決策を考える。
3.拡大:サステナビリティ・モデルをつくる。解決策を拡張し、長期にわたって大きな影響力を持ち続けるものにする。
この構造化されたプロセスは、広範囲な問題に応用が可能で、さまざまな価値提案やサステナビリティ・モデルを生み出す。
それは従来のビジネス分野にとどまらない。端的に言うと、「発見・解決・拡大」起業プロセスはイデオロギーではなく方法論として、研究所、平和を求めるNPO、米国大使館の経済開発構想など、ビジネスをはるかに超えた領域で、問題解決する力を与えてきた。この方法で多くの人が大金を稼いだのは確かだが、もっと多くの人にとって、もっと大きな意味を持つものだ。
これら起業につながった解決策の多くは「善を行なうことによって業績をあげ」、世界をよりよい場所にするものなのだ。
従来のアントレプレナーシップの概念は、技術的な発明のビジネスへの応用が中心だったが、このプロセスはさまざまな状況で問題解決を目指す人々にとって有用なものになっている。従来のアントレプレナーシップの概念は、ビジネスの結果を重視していた。このプロセスではビジネス・モデルについて、長期的に大規模な問題解決を可能にする、数多くあるサステナビリティ・モデルの1つに過ぎないと考える。
科学的手法を学んだからといって、私の教え子であるリベラル・アーツ専攻の学生たちの多くは科学者になるわけではなく、書き方を学んだからといって、誰もがプロの作家になるわけでもない。しかしこれらの基本的なスキルは、彼らが仕事をする上で不可欠なものである。
「発見・解決・拡大」起業プロセスを習得したからといって、学生たちがテック・ビジネスという狭い分野での起業家になるとは限らない。しかしこのプロセスは、学生たちがさまざまな分野で活躍する上で必要不可欠なものだ。アントレプレナーシップは、いまやビジネスに限定されるものではなくなっている。