(※写真はイメージです/PIXTA)

“富裕層の砦”とも称されるタワマン。しかし、その中に暮らす人の生活実態は、外からうかがい知ることはできない。日々の些細なストレスに神経をすり減らしている人もいれば、長年にわたって厳しい状況に立たされている人もいる。実情を見ていく。

タワマン住民がイライラを募らせる、日常的な「困りごと」とは?

庶民から羨望のまなざしを向けられる、タワーマンション(以下タワマン)住民。しかし、実生活のなかには以外にも、小さなイライラを引き起こす「日常的な困りごと」があるようだ。

 

複数の居住者から寄せられた「困りごと」で最多だったのは、定番の「朝の通勤・通学時間、居住階になかなかエレベーターが来ない(または乗れない)」だった。

 

一棟に千人単位が居住するタワマンなら、これはある意味「宿命」的な困りごとなのかもしれない。エレベーター数を増やしても、1基で最大13人程度しか乗ることができない。上層階と下層階で利用エレベーターを分ける工夫がなされている物件もあるが、一時的に利用者が集中してしまったら、ラッシュ解消はむずかしいだろう。

 

その次が「バルコニーに出られない・窓が開けられない」「日差しが強すぎる」といった開口部関連の困りごとだ。

 

室内は24時間換気システムで随時通気が行われているが、それでも、なんとなく空気が籠っていたり、臭気が漂っていたりするような感覚がある。また、眺望を楽しむための大きな窓は、ギラギラと照り付ける日差しも必要以上に採り込んでしまう。

 

もちろん、タワマンでも窓が開閉でき、バルコニーに出られる物件もある。強い日差しがイヤなら北向き住戸を選べばいいだけのこと。だが、バルコニーに出入りできると、子どもなどが誤って転落してしまうリスクがあり、北向きだと冬場に日差しが恋しくなるかもしれない。

 

そしてもっと切実なのが「金銭面」にかかわる困りごとだ。

 

タワマンは軒並み管理費・修繕積立金が高額になる。理由はいわずもがな、建物の「高さ」だ。窓清掃作業をはじめとする高層部メンテナンスは命がけ、長距離を往復するエレベーターの保守管理にも精密性が求められる。加えて、このところの建設資材高騰を受け、大規模修繕予算の増額を検討する管理組合も増えてきた。

 

現状すでに高額な管理費・修繕積立金がさらに値上げとなれば、日々の生活費にも影響が及ぶわけだが、とりあえず月額数千円程度の値上げ幅と想定され、ライフライン的な出費としてほとんどの住民が微妙な気持ちを持ちつつも容認している。

 

だが、これらよりもさらに深刻な金銭面での困りごとがある。

年収1,000万円超なら、1億円の不動産が「購入できてしまう」が…

一般的に、年収1,000万円以上の人なら1億円超のタワマンを購入しても無理なくローン返済ができるといわれている。

 

たとえば、販売価格1億円のタワマンをフルローンで購入した場合、月々の支払いは約26万円(金利0.475%・借入期間35年)で、月給の約3割程度になる。ファイナンシャルプランナーが試算する住宅費の目安が「月給の3割程度」なので、妥当な金額なのだろう。

 

しかし、支払い期間は35年と長期にわたる。30歳でローンを組んだら、完済時は65歳。それまで現在の収入レベルを維持できるものだろうか。勤務先の経営悪化、転職の失敗、自分や家族のケガ・病気など、長い人生の中で想定外の事態が起こることはいくらでも考えられる。

 

不幸にも、このような“想定外の事態”に見舞われてしまった人たちがローン破綻に陥っている。

 

支払いが滞ったら自宅(タワマン)を売却してローンを完済することも考えなければならない。しかし、大概は売却物件の相場価格よりローン残債の方が高い、いわゆる「オーバーローン」になるケースが多い。

 

ローン残債が4,000万円残っているのに、不動産会社の売出査定で3,000万円と評価されれば、売却しても不足分の1,000万円が焦げ付いてしまう。自宅を失ったうえに多額の負債を抱えたままでは、家族を路頭に迷わせることになるかもしれない。

バブル期に購入したリゾート・タワマンでローン破綻

1990年代前半、千葉県の湾岸部に竣工したリゾートライクなタワマンA(自宅)を購入した自営業の佐藤さん。

 

当時、不動産市場にはまだバブル期の余韻が残っており、物件価格はもちろんのこと、ローン金利も6~7%と高いレベルにあった。そのため、ローン返済を続けても残債はなかなか減らず、購入後20年目にして支払い困難に陥ってしまった。滞納3カ月目になると借入銀行から「このままではサービサー(債権回収会社)に権利譲渡することになります」といわれ、佐藤さんは差押え、さらには競売に送られる日も近いと察する。

 

そこで、自宅の売却を前提に不動産会社へ価格査定を依頼することに。査定結果は2,780万円で、ローン残債3,900万円から差し引き1,120万円も不足することがわかった。

今後のローン金利上昇も懸念要素に

ローン破綻して売却するにも相場査定で「オーバーローン」となってしまった場合、最後の頼みの綱は残債に見合う価格での売却、いわゆる「任意売却」を専門とする不動産会社だ。佐藤さんは任意売却によって残債なく自宅を売却することができたが、皮肉なことに、売却の数年後にタワマンAの相場価格が5,000万円台まで上昇した。佐藤さんは近隣の賃貸住宅に暮らしながら、悔し涙に暮れている。

 

だが、佐藤さんの事例を「遠いバブル期の残余」と他人事ですませることはできない。

 

長年”超低金利”で推移してきた住宅ローン金利が近々引き上げられる兆しがあるからだ。日本銀行が長期金利の上限(1%)を撤廃したことに伴い、短期金利も上昇するのではないかとの予測がされている。

 

すでに住宅ローンの固定金利は上昇しているから、追って変動金利も上昇していくのだろう。バブル期同様の金利水準に達する日は、実はそれほど遠くないかもしれない。

 

 

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