(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。

 

●日経平均急騰は円安、企業改革期待、新NISAからの新規マネー、オプション需給などが背景か。

●詳細は投資部門別売買状況の海外投資家や個人、投資信託の現物売買動向で確認が可能。

●海外勢の先物主導なら今後騰勢は弱まる恐れ、海外勢や個人などの現物買い越し額に要注目。

日経平均急騰は円安、企業改革期待、新NISAからの新規マネー、オプション需給などが背景か

先週の日経平均株価は、終値ベースでバブル経済崩壊後の高値を連日更新し、12日には35,577円11銭で取引を終え、1990年2月以来、およそ33年11ヵ月ぶりの水準をつけました。日経平均は同日まで5営業日続伸し、上げ幅は2,288円82銭に達するなど、短期間で一気に騰勢を強めています。今回のレポートでは、株価急騰の理由と、それを主導した投資主体を探ります。

 

株高の理由の1つに、年初、1ドル=140円台で推移していたドル円が、先週は一時146円台をつけ、円高懸念が大きく後退したことがあると思われます。また、年明け以降もバリュー(割安)株や内需株、高配当株が好調であることから、資本効率の改善など、企業改革への期待も続いていると推測され、今月からの新NISA(少額投資非課税制度)開始に伴う新規投資資金の流入、オプション取引に絡む需給要因なども、背景にあると考えられます。

詳細は投資部門別売買状況の海外投資家や個人、投資信託の現物売買動向で確認が可能

先週、日経平均が急騰した理由については、実際に売買を行った投資主体を確認することで、もう少し詳しい手掛かりを得ることができます。具体的には、日本取引所グループが毎週公表している「投資部門別売買状況」で確認することができ、先週分は今週木曜日の午後3時に公表されます。この資料には、海外投資家や個人など、主要な投資主体の売買状況が記載されており、現物だけではなく、先物の取引データもそろっています。

 

現物では、やはり海外投資家の動向がポイントで、先週、日本株を大きく買い越していれば、中長期的な視点で運用を行う年金基金などが日本株を押し上げたと推測されます。また、今回は、個人や投資信託にも注目が集まります。一般に、これらの投資主体は逆張り志向が強く、株高の週には売り越す傾向がありますが(図表1)、先週に買い越していれば、新NISAからの新規投資資金が日本株を支えたと考えることもできます。

 

[図表1]株高局面における主要投資主体の傾向

海外勢の先物主導なら今後騰勢は弱まる恐れ、海外勢や個人などの現物買い越し額に要注目

なお、先物については、現物と同様、海外投資家の動きが重要で、ここには短期的な視点で売買を行う投機筋などが含まれるため、特に注意が必要です。先週は、1月12日が株価指数オプションなどの特別清算指数(SQ)値の算出日であったため、株価上昇のなか、コールオプションの売り手が評価損補填のために先物を買う「デルタヘッジ」を行い、一段の株高につながったとも考えられます。

 

実際、先物の出来高をみると、先週はSQ算出日の前日まで急増していることから(図表2)、デルタヘッジに絡む先物買いと、裁定業者(主に証券会社)による「裁定買い取引(先物売り+現物買い)」が膨らんだことが想定されます。この場合、騰勢は今後弱まる恐れがありますが、先週、海外投資家や個人、投資信託の現物買い越し額が、海外投資家の先物買い越し額を大きく上回っていれば、株高基調の継続は期待されます。

 

[図表2]日経225先物の出来高

 

(2024年1月15日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『株高基調は継続するか?先週の日経平均株価「バブル後最高値」連日更新のワケ【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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