年齢や状況によって「備えるべきリスク」は千差万別
自分のリスクってなんだろう。ここは意外とわかりづらいものです。
そこで本書『NEWよい保険・悪い保険2024年版』では、年齢別・状況別に考えられるリスクをあげてみました。どんなリスクに対して保険が必要なのか、本稿では住宅ローンがある30代後半のケースを見ていきましょう。
もっとも、ひとつの保険で、すべてのリスクをカバーすることはできません。医療保険は入院や手術、がん保険はがんに対して、死亡保険は死亡だけといったように、保障される対象は限定されています。
つまり、複数のリスクに対応するためには、複数の保険が必要なのです。そのベストな組み合わせも、提案したいと思います。
さらに、保険以外にも目を向けています。ほかの方法を使ったほうが、効率的な場合もあるからです。どういう制度が有効か、あわせて説明します。
家計におけるお金のリスクコントロールは、家計全体のバランスを考えることが大切です。公的保険やその他の制度を理解し、上手に活用しながら、保険を見直してください。
どの程度の保障をつけるかの目安として、保険料の一例を入れました。本書『NEWよい保険・悪い保険2024年版』PART1でベストにあがった商品を元に、保険料を試算しています。
一方、iDeCo、NISA、国民年金基金などの掛金は、具体的な数字を入れていません。こちらはそれぞれの状況に応じて、ムリのない範囲で積み立ててください。ちなみに、掛金は多いほうが、将来にゆとりが出ます。
住宅ローンに教育費…大きな出費が重なる30代後半のケース
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●家族構成
夫:37歳、会社員
妻:35歳、会社員
子ども:11歳
●悩み
「念願のマイホームを購入! 35年のローンが始まりました。子どもはこれから教育費がかかる年齢ですし、なにかあったらたいへん。ローンの長い道のりを考えると、老後もちょっと心配です。」(夫、37歳・会社員)
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【回答】団信の保障を見ながら、死亡保障を上乗せ
住宅ローン、教育費と大きな出費が続きます。現在・将来のリスクを踏まえ、必要な保険を選ぶことが大切です。
やはり、死亡は大きなリスクです。とはいえ、いきなり多額の死亡保険に入るのは早計です。住宅ローンを契約するとき、団体信用生命保険(団信)に加入したと思います。これも死亡保障なので、ある程度の住居費はカバーできます。
団信の保障は住宅ローンの残高に呼応するため、返済が終わるころには保障額も少なくなります。団信の契約にもよりますが、夫婦ともに定期保険で補います。
さらに、がん保険でがんに罹患したときの収入減リスクに備えます。
教育費については、NISAを利用します。預貯金だけでなく、投資信託などを持つことでインフレに対応できますし、いざというときも役に立ちます。
老後資金作りはiDeCoをお勧めしますが、ムリのない範囲にしておきましょう。
もうひとつ。35年ローンだと、完済は72歳あたりになります。年金暮らしが始まっても返済が続く状態は、けっこうな負担です。途中で余裕があるときは、繰上げ返済をしたいものです。
横川 由理
FPエージェンシー代表、CFP®、証券アナリスト、MBA(会計&ファイナンス)。お金の知識を広めることをライフワークとして、ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得講座、マネー講座、執筆などを中心に幅広く活動している。
著書に『老後にいくら必要か?』『50歳からの資産防衛術』(すべて宝島社)、『大切な人を亡くしたあとのお金のこと手続きのこと』(河出書房新社)、『保険 こう選ぶのが正解! 2024-2025年版』(実務教育出版)、『知らないだけで損をしている! インフレってなに?』(自由国民社)など多数。
長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。
著書に『コワ〜い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(すべて河出書房新社)、『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)、共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)など多数。
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